婦人保護事業-60年目の見直しへ-(下)

公明新聞:2017年9月8日(金)付

婦人保護施設を運営する社会福祉法人から住宅を借りて「ボンドのイエ」を始めた橘代表と、夫でカメラマンのKENさん婦人保護施設を運営する社会福祉法人から住宅を借りて「ボンドのイエ」を始めた橘代表(右)と、夫でカメラマンのKENさん(画像を一部加工)

若者に支援届きにくく
行き場ない10~20代
性被害の危険性高い

夜の繁華街を徘徊する10代から20代の女性たち。この中には、虐待や貧困のために帰る所がなく、援助交際(売春)などで生活の糧を得ている若者もいる。性暴力や予期せぬ妊娠、性感染症などの危険にさらされるケースも少なくない。

こうした女性たちは婦人保護事業(18歳未満は原則、児童相談所が対応)の対象になり得るが、課題を一人で抱え込みやすく、行政との縁も薄いことから、彼女たちには支援が届きにくいのが実情だ。

「女の子は簡単に助けを求めない。若いから何とかなると思っている。実際、夜の街に立てば声を掛けられ、売春でその日暮らしができてしまう」。困難を抱える若い女性を支援してきたNPO法人BONDプロジェクトの橘ジュン代表は、こう指摘する。

BONDは東京都内の夜の街で女性に声を掛けたり、相談に乗りながら一時保護などを行っている。公的な支援にも積極的につなげているが、既存の制度には限界も感じている。

仮に保護したとしても、皆が婦人保護施設に入れるとは限らない。婦人相談所が入所を判断するからだ。本人が入所を望まないこともある。これには、DV(配偶者からの暴力)被害者の居所を加害者に知られないよう、施設が通信機器の使用を制限しているために、携帯電話を重要な“ライフライン”とする若者が入所を敬遠するなどのケースがある。

家に帰れず、公的な支援制度にも当てはまらない子に生活の場を――との思いから、BONDは7月下旬、都内に自立準備のためのシェルター「ボンドのイエ」を開設した。とはいえ、困難を抱えた若い女性の居場所は、まだ少ない。橘代表は「保護した後の選択肢がもっとあるべきだ」と語気を強める。

公明、プロジェクトチーム設置し議論・調査進める

自民、公明両党の与党「性犯罪・性暴力被害者の支援体制充実に関するプロジェクトチーム(PT)」は昨年12月、婦人保護事業の抜本的見直しや相談体制の強化などを政府に提言。これを受け、今年度予算に婦人相談員の手当拡充などが盛り込まれた。

さらに両党は、同事業の見直し検討PTをそれぞれ党内に設置。公明党PT(山本香苗座長=参院議員、与党PT座長代理)は7月に初会合を開き、8月には婦人保護施設を視察した。

公明党PT事務局長の宮崎勝参院議員は「現場の実態を把握しながら課題を整理し、見直しを進めていく」と決意している。

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