ホームレス自立支援法の延長

公明新聞:2017年9月5日(火)付

奥田知志理事長奥田知志理事長

人は一人で生きていけない
「助けて」と言える社会に

2002年に公明党のリードで成立し、ホームレスの定義や人権の擁護などを定めたホームレス自立支援法が6月に改正され、8月までの期限が10年間延長された。厚生労働省調査では、ホームレスは03年の2万5296人から大幅に減少したものの、依然として5534人に上り、高齢化・長期化などの課題も浮き彫りになっている。今後の自立支援のあり方などについて、NPO法人ホームレス支援全国ネットワークの奥田知志理事長に聞いた。

NPO法人ホームレス支援 全国ネットワーク 奥田知志理事長に聞く

―ホームレス自立支援法の延長を訴えてきたのはなぜですか。

ホームレス支援を「国の責務」と書いた、この法律の存在は非常に大きい。ホームレスは「自己責任」では決してなく、必ずしも個人の努力だけでは解決できない社会や経済、人権の問題だ。具体的な施策は2015年に始まった生活困窮者自立支援制度に位置付けられたが、大切な理念が示されたこの法律が存在し続けることが大事だった。

残念ながら今の日本社会は貧困や格差が顕在化し、命を軽視する傾向も見られる。そうした時代だからこそ、国が責任ある立場でホームレス支援を続けることが必要だと訴えてきた。最終的に全会派が賛成し、法律の期限が延長された。そこに至るまでの公明党の尽力にとても感謝している。

“伴走支援”の人材育成が必要

―自立支援のポイントは。

中心は就労だ。これまで支援を受けた人の5割程度が就職を果たした。

しかし何より支援において大切なのは「人を大事にする」ことだ。かつて、「放っておいてくれ。死んだ方がいい」と支援を拒む男性に10年間、弁当を届け続けたことがある。「生きてほしい」と言い続けた結果、「奥田さんがそういうなら」と、支援を受け入れた。出会いで人は変わる。

人は一人では生きていけない弱さを持っている。家族や社会から孤立したホームレスへの支援は特に、人との関わりの回復が大前提だ。関係を結ぶことで、こちらが“傷つく”こともある。それを恐れ、避けるのではなく、「『助けて』と言っていいんだ」と声を掛け続けることが大事だ。

―今後の課題は。

ホームレスの定義は「野宿者」に限られているが、ネットカフェなどで寝泊まりする「ホームレスになる恐れがある人」への支援が課題だ。また、高齢者や障がい者、精神疾患を抱えた人への福祉的な対応も強く求められている。

いずれも「早期解決」ばかり追い求めるのではなく、誰と生きるか、なぜ働くのかを一緒に考える“伴走支援”が必要だ。こうした支援は、コミュニケーションをどう深めるかが重要になる。知識を持ち、人権意識も高く、粘り強く現場で踏ん張れるプロフェッショナルな人材の育成を進めていくべきだ。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読