ICT社会の実現へ

公明新聞:2017年8月2日(水)付

行政コストを大幅削減
データ連携、遠隔技術など健康・医療・介護に活用
社会的弱者の利用支援など基本計画に公明の主張反映
高木美智代・党推進本部長に聞く

政府が5月末に策定した新IT戦略「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」では、行政や民間の電子情報データを効果的に活用し、国民が豊かさを実感できるICT(情報通信技術)社会の実現をめざす。同計画のポイントと公明党の取り組みについて、党ICT社会推進本部長の高木美智代衆院議員に聞いた。

――政府が基本計画を決定した経緯は。

高木 ICTの技術進歩は目覚ましく、今やスマートフォンなどで大量のデータがインターネット上に流通し、国内外を問わず情報共有できる時代です。データの利活用で、AI(人工知能)や、ロボットなどの開発も活発化しています。

少子高齢化が進む日本では、こうした技術を生かし、経済成長につなげなければなりません。そこで昨年12月、行政と民間が互いにデータを利活用できる環境を整備する「官民データ活用推進基本法」を議員立法で成立させ、これを受け政府が基本計画を取りまとめ、今年5月に閣議決定されました。

――基本計画で重視すべき点は何か。

高木 特に、行政手続きのオンライン化を原則とし、国民負担の軽減や行政のコスト削減を進めます。例えば、愛知県岡崎市と豊橋市では、情報システムを共同化したことで、地方税の業務・運用コストで45%の削減につながりました。こうした事例を全国に広げ、政府は2020年までに2割以上のコスト削減をめざします。

また、健康・医療・介護分野では、データの連携、遠隔技術やAIの活用で、個々に応じた重症化予防や効率的、効果的な治療などを行います。

――公明党の取り組みは。

高木 公明党は、昨年12月にICT社会推進本部を立ち上げ、その下に自治体業務のICT化の推進や、医療・介護分野のICTの利活用などを検討する5委員会を設けました。

これまで、大学教授や研究者、企業担当者などと意見交換を行ったほか、現行のハイビジョン(2K)と比べ、より鮮明な「8K」画像を利用した病理診断システムの実証や、中小企業でのICT化の現場などを視察。

その上で、国民の幸福のために活用される「人間中心のICT社会」を根本理念とする提言を、政府に申し入れました。計画では、提言に基づき、出生や結婚などライフイベントにかかる煩雑な行政手続きのワンストップ化の実現や、社会的弱者のICT利用支援、IT人材の育成などの視点が盛り込まれました。

また、先月14日には、党推進本部が新潟県佐渡市を視察し、情報共有システムで住民の命と健康を支える取り組みを調査しました。今後も、党として全体の取り組みを注視し、データ利活用型の新しい社会モデルの構築を推進していきます。

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