8月1日から年金の資格期間短縮

公明新聞:2017年7月27日(木)付

加入10年で受給
高齢者など64万人救済 10月以降支給(手続き必要)
公明主導の「無年金」対策施行

公明党の推進で昨年11月に成立した無年金者救済法が8月1日から施行され、公的年金を受け取る資格を得るのに必要な加入期間(受給資格期間)が25年から10年に短縮される。これにより、現在、無年金状態の高齢者など約64万人が新たに受給資格を取得。将来、無年金となる人を大幅に減らす効果も期待されている。

新たに受給資格を得る無年金者が実際に年金を受け取るには、日本年金機構から届いた「年金請求書」に必要事項を記入し、年金事務所などに提出する必要がある。年金は支給すべき理由が生じた翌月分から給付が始まる。今回は、まず9月分について、手続きが7月中であれば10月に、8月中であれば11月に支払われる予定。以降は偶数月に2カ月分が一括支給される。手続きが遅れても、さかのぼって支給される。

支給額は主に保険料を納めた期間に応じて決まる。国民年金であれば、保険料を40年間納めると満額の月約6万5000円だが、10年間では4分の1の同1万6200円となる。

施行日以降に支給開始年齢を迎える人は、資格期間が10年以上あれば同年齢になる3カ月前に書類が届くようになる。手続きは同年齢になってから行う。

国民年金保険料の納付義務は60歳になるまでだが、60歳以上でも任意加入や後納制度の利用などによって、資格期間を満たせる場合がある。このため、60歳以上で資格期間10年未満の人には、日本年金機構が年内をめどにお知らせを送る見通しだ。

受給資格期間の短縮は、消費税率10%への引き上げと同時に実施される予定だった。しかし昨年、引き上げが2017年4月から19年10月へと2年半延期されることになったため、公明党は低所得の高齢者らへの支援は急務だと強く主張。実施の前倒しを主導した。

保険料の“掛け捨て”防ぐ

堀勝洋 上智大学名誉教授

受給資格期間の短縮を評価している。

従来、保険料を24年11カ月納めても老齢年金をもらえず、保険料が“掛け捨て”になっていたのは制度として問題だった。先進諸国を見ても25年は長い。

保険料納付が困難な時期がある低所得者を考えると、資格期間は短い方がいい。短期間の納付だと給付も少ないので、必ずしも「10年加入したら保険料を納めなくなる」とはならないだろう。

経済的に苦しければ保険料の免除や猶予などの制度を利用できることも、十分に広報するべきだ。

また、保険料の納付促進には、年金制度が持続可能であることを一層、周知する努力も求められる。

公明党には、今後も財源の確保を含めた社会保障の強化をさらに進めてほしい。

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