主張サンマ漁国際規制 資源保護へ協議継続が必要だ

公明新聞:2017年7月17日(月)付

このままでは乱獲に歯止めがかからず、やがては資源枯渇という事態になりかねない。協議の継続が必要だ。

北太平洋の漁業資源の管理のあり方をめぐって札幌市内で開かれていた北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が閉幕した。

焦点だったサンマの資源管理については、日本が提案していた「国・地域別漁獲枠」の創設に中国と韓国、ロシアが反発し、合意に至らなかった。来年の会合で改めて議題にすることになったという。

だが、そんな悠長なことでいいのか。

水産庁によると、かつて500万トンを超えていた北太平洋西域のサンマの推定資源量は今や、180万トン弱にまで減っている。特に日本近海での減少は著しく、毎年20万~30万トンで推移してきた日本の漁獲量は、2015、16年とも約11万トンにまで落ち込んだ。

背景にあるのは、温暖化による水温上昇のほか、台湾や中国の大型漁船がサンマの回遊ルートに先回りし、三陸沖の公海で乱獲しているためとされる。事実、台湾の漁獲量は4年前から日本を上回り、昨年は約15万トンを記録。中国に至っては、この5年間で30倍も増えている。

今回の会合で日本が漁獲枠の創設を呼び掛けたのは、このまま各国が自国の利益を優先して野放図な漁を続ければ、遠からず資源が枯渇するとの危機感からだ。全体の漁獲量を年間約56万トンとし、その中で日本約24万トン、台湾約19万トン、中国約5万トンなどと過去数年の実績に基づく割当量を提案した。

交渉が決裂したことで、三陸沖の公海では今秋の漁期も「ルールなき操業の展開」(水産庁)が避けられまい。価格上昇など国内漁業者や消費者への影響も懸念される。

ただ会合では、違法操業の取り締まり強化と、中国などの遠洋漁業国がサンマ漁船の増加を1年間に限って禁止することでは一致した。「ささやかな成果」(宮城・気仙沼漁協)とはいえ、サンマに関する初の国際ルールができた意義は小さくない。

これを踏み台に、より実効性ある枠組みづくりにどうつなげるか。サンマ消費大国・日本の責任は引き続き重いことを確認しておきたい。

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