世界大会が日本初開催

公明新聞:2017年7月15日(土)付

ワークショップで音楽療法士のリードに合わせて、ドラムやタンバリンなどで即興演奏を楽しむ参加者ワークショップで音楽療法士のリードに合わせて、ドラムやタンバリンなどで即興演奏を楽しむ参加者

音楽療法 成果を学び合う
認知症、心のケアに効果
浮島衆院議員も出席 海外から多数の活用例
茨城・つくば市

音楽の持つ力で、人間の自然治癒力を最大限に引き出し、心身を健全な状態に回復させる音楽療法。その成果や可能性を学び合う「第15回世界音楽療法大会」が7月4日からの5日間、茨城県つくば市で行われた。日本初開催の同世界大会には、47カ国の音楽療法士らが参加した。

5日の午前8時。プログラムが始まる30分以上前から、日本人に交じって、海外から来日した外国人が続々と「つくば国際会議場」に入っていく。世界音楽療法大会の参加者だ。

同大会は3年に1度、世界各地で開催され、今回は世界音楽療法連盟と日本音楽療法学会が共催。「音楽療法で未来をひらく」をテーマに、シンポジウムやワークショップなどに、音楽療法士のほか、医療関係者、学生ら約2500人が参加し、研究や活動の成果が発表された。

開会式では、音楽療法を推進してきた公明党を代表して浮島智子衆院議員が来賓としてあいさつし、音楽療法のさらなる普及・発展に取り組む決意を述べた。

大会のメインであるシンポジウムは、4日間行われ、国内外の音楽療法士15人が登壇し、これまで培った研究成果や自身の体験を語った。

5日のシンポジウムは、約1200人が収容できる大ホールが満席となり、立ち見が出るほどの盛況ぶり。この中で、オーストラリアの女性音楽療法士のクラーク・イモージェンさんは、音楽療法による自身の母親の変化を語った。クラークさんの父親は認知症で、日ごろ母親が介護を担う。ところが母親は、心臓病で健康維持のために週150分の散歩を必要としていたが、父親の介護に疲れ、思うように実践できずにいた。

そこでクラークさんは、母親に歩きながら音楽を聴くことを提案。母親に最もふさわしい音楽を見つけるため、時間をかけて母親の人生の話を聞いた。たどり着いた音楽がポップなメロディーで人気となったビージーズの「ステイン・アライブ」だった。これを機に、母親は楽しく散歩するようになり、父親に対しての愚痴が減り、表情が明るくなったという。

このほか、音楽療法で認知症高齢者の表情が柔らかくなり、言動も落ち着いたとの体験も紹介された。

また、南アフリカのカリン・スチュアートさんは、音楽療法が介護施設の入所者と職員をつなぐ役割を果たしたことを強調。施設側が、ストレスを抱えがちな職員の朝の日課に「好きな歌を歌うこと」を加えてもらうことにした。歌を通して、自身の感情を豊かに表現するようになったことで、職員の仕事への姿勢が前向きになり、入所者の笑顔も増えたという。

6日には、兵庫県が、阪神・淡路大震災の被災者の心のケアに音楽療法を取り入れた事例を紹介。現在では、同県内各地で養成講座が開かれ、350人を超す音楽療法士が誕生していることをアピールした。

大会では、音楽療法がNICU(新生児集中治療室)にいる新生児や終末期のがん患者らにも効果的であるとの報告もされた。

演奏や展示も

重度のうつ、失語症が改善

研究成果を1枚のパネルに展示する「ポスター発表」には、多くの参加者が訪れた全体プログラムと並行して行われたワークショップでは、音楽療法の一環として注目されているドラムやタンバリンなどの打楽器を使った即興演奏もあり、参加者は輪になって、一人一人が好きなリズムで音を出して楽しんでいた。

一方で、オープンスペースには研究成果を1枚のパネルに展示し、参加者が自由に回れる「ポスター発表」があった。音楽により重度のうつ病や失語症が改善したり、若者の自殺を防止できたケースなどが紹介された。 

大会に参加したノルウェーの男性は「各国の発表を聞いて、音楽療法が持つポテンシャル(潜在力)の高さを実感した」とうれしそう。また日本の女子学生は「独自の子守歌をつくるワークショップが面白かった。将来、障がい児のための音楽療法に取り組みたい」と希望に胸を膨らませた。

音楽療法

第2次世界大戦後、兵士の精神的治療法として米国で盛んになり、欧米を中心に発展してきた。日本では2001年、日本音楽療法学会が設立された。現在、日本では同学会が認定する音楽療法士約3000人が活躍している。

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