広がる障がい者アート

公明新聞:2017年5月2日(火)付

アトリエ「ぱんげあ」で創作活動に励む障がい者ら=東京・中野区アトリエ「ぱんげあ」で創作活動に励む障がい者ら=東京・中野区

個性豊かな表現が魅力
創作活動通じて社会参加も
東京・中野区

「アール・ブリュット」(生の芸術)とも呼ばれる障がい者らのアート。その自由で独創的な芸術表現は欧米で高い評価を受けており、日本でも広がっている。こうした動きを踏まえ、障がい者の文化芸術活動を支援する法案が近く国会に提出される予定だ。ここでは、アートの分野から障がい者の社会参加を促す東京都中野区での先駆的な取り組みを紹介する。

鮮やかな色彩、柔らかなタッチ

「ここで絵を描くことが本当に楽しくて」。こう話すのは、東京都中野区のアトリエで創作活動に励む堀谷惠子さんだ。完成した作品を見せてもらうと、鮮やかな色彩と柔らかなタッチで自在に表現された果物や風景が、画用紙いっぱいに広がっていた。

知的障がいのある堀谷さんが通うのは、社会福祉法人・愛成会(中野区)が主催するアトリエ「ぱんげあ」。障がい者福祉施設を運営する同法人が2004年に開設した。アトリエは月に1、2回開かれ、毎回30人ほどが参加する。

同アトリエでの創作活動は、本人の意欲を尊重する。このため、絵筆を取らずにアトリエ内を自由に歩き回ったり、おしゃべりに夢中になる人もいるという。同法人で事業推進課長を務める小川由香里さんは、「誰もが居心地の良さを感じる場にしたい」と強調する。

アトリエに通うのは、身体、知的などの障がい者だけでなく、福祉や美術系の専門学校生や大学生、芸術家、ボランティアらもいる。多様な人々が集まり、芸術活動に励んでいる。日本がめざすべき共生社会の姿がそこにあるようだ。

ボランティアとして、渋谷区から参加する茂木千亜紀さんは、「障がいの有無に関係なく、思うがままに表現する姿を見ていると、得ることがたくさんある」と話した。

同アトリエでは、障がい者らの創作意欲を高めようと、年4回の展覧会を開催している。しかし、会場費の捻出など、発表の場づくりも容易ではない。

小川さんによると、「これまで会場提供者の好意に助けられてきたが、普通に借りれば都内では何十万円もかかる」という。そして、障がい者の芸術活動の舞台を広げるには、「公的な支援が欠かせない」と訴える。

公明が後押し 商店街で作品展

中野区で開かれた作品展を訪れ、関係者から話を聞く高倉都議=今年1月こうした状況の中、公明党の高倉良生都議(都議選予定候補=中野区)は、同法人に寄り添い、障がい者の芸術活動を後押ししてきた。

そして、公明区議とも連携し取り組んだ結果、中野区では10年から毎年、同法人と商店街振興組合の共催で、街全体を一つの大きな美術館と位置付けた作品展を開催。商店街のアーケードや学校、銀行などに作品が展示され、多くの人の目を楽しませている。

同法人でアートディレクターを務める小林瑞恵常務理事は、「作品が展示され、本人たちの自信につながっている。今後も活動を広げ、障がい者の社会参加を促していきたい」と語る。

都議会公明党はこれまで、アール・ブリュットなどの障がい者の芸術活動に関して、議会質問などで推進してきた。高倉都議のほか、伊藤こういち都議(同=品川区)は16年2月定例会で都庁舎を展示会場とするよう提案。また、中山信行都議(同=足立区)は同定例会で展示拠点の整備を訴えた。

公明党の主張を受け、都は16年6月に都庁で「アール・ブリュット美術展」を開催。さらに17年度中に、渋谷区内にアール・ブリュットの展示拠点を開設する。

超党派議連 支援法案提出へ

今国会に、障がい者の文化芸術活動を支援する法案が、公明党を含む超党派の議員立法で提出される見込みだ。

法案では、障がい者の文化芸術活動の推進を国や自治体の責務と位置付け、国に対し必要な財政措置を講じるよう求めている。

成立すれば、国は①鑑賞の機会拡大②作品の専門的な評価に向けた環境整備③著作権保護のための指針づくり④販売事業の支援――などに取り組むことになる。

超党派議員連盟の事務局長で、公明党障がい者福祉委員会の山本博司副委員長(参院議員)は、「障がい者の作品を多くの人に鑑賞してもらえるよう、創作活動を支援したい。法案の早期提出と成立に力を尽くしていく」と話している。

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