主張「観光立国」へ地方誘客加速を

公明新聞:2017年4月24日(月)付

訪日外国人 過去最高

訪日外国人客の増加が続いている。

観光庁によると、先月は前年同月より9.8%伸びて220万人を突破、3月として過去最高となった。1~3月期で見ても、前年同期比13.6%増で、四半期ごとの数字としては過去最高の654万人を記録した。

思えば、訪日外国人客数が年間1000万の大台に達したのは2013年のことだった。それが、わずか3年後の昨年に2000万人を突破。「20年に2000万人」の政府目標は早々に達成され、今や「20年に4000万人」も現実味を帯びてきた。

政府は自治体や民間企業との連携を引き続き密にして、「観光立国」への道を果敢に切り開いていってほしい。

観光が重要であるのは、買い物や宿泊などによる経済効果が大きいからだけではない。外国人と触れる機会が増えることで異文化への理解が深まり、「内なる国際化」という文化的効果ももたらす。

人々は外国人の目を通して日本を再発見し、郷土愛を新たにすることにもなろう。

となれば、観光立国への挑戦が単に訪日客数増の追求にのみ終始してはならないことは明らかだ。観光がもたらす“二つの実り”、経済的効果と文化的効果を列島全域に広げてこそ意味があることを確認しておきたい。

その意味で、訪日客の旅行先に相変わらず偏りがあるのは問題だ。初めて7000万人を突破した昨年の外国人延べ宿泊者数を見ても、東京と大阪、京都の3都府だけでほぼ半数を占めている。

地方の州や都市にも観光客が分散するフランスやイタリアなど欧州の観光先進国を引き合いに出すまでもなく、極端なまでに“3極”に集中している。

幸い、ここに来て、外国人観光客の間に歓迎すべき動きが見える。農作業や陶器づくりなど、地方の伝統的な自然や文化に触れる体験型観光に関心が高まっていることだ。

政府や自治体はこうした動きを敏感に捉え、地域の伝統工芸・芸能の観光資源化や情報発信の強化などを積極的に推し進めることが肝要だ。

真の観光立国へ、その鍵は外国人の地方誘客にあることを重ねて強調しておきたい。

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