薬物依存者の再犯防止

公明新聞:2017年3月20日(月)付

菅官房長官に提言する党再犯防止対策強化PTと法務部会のメンバー=昨年5月 首相官邸菅官房長官(中央)に提言する党再犯防止対策強化PTと法務部会のメンバー=昨年5月 首相官邸

17年度から専門の保護観察官
党PTの要望が実現

覚せい剤など薬物犯罪で服役した人の再犯率の高さが課題となる中、法務省は2017年度から、全国の主要都市にある12カ所の保護観察所に、薬物依存者への対応を専門に行う「統括保護観察官」を1人ずつ配置し、更生支援を強化する。17年度予算案に施策が盛り込まれた。

統括観察官は、各所管地域で、保護観察中の薬物依存者の情報を集約。話し合いを通じて考え方を変えていく「認知行動療法」に基づく教育プログラムなどを提供する。

観察終了後は、引き続き治療が受けられるよう、統括観察官が地域の医療・福祉機関と連携しながら、薬物依存者の症状に合った対応を決める。

16年版の「犯罪白書」によると、覚せい剤取締法違反で服役し、11年に出所した元受刑者のうち、5年以内に同法違反で刑務所に再入所した人の割合(再入所率)は、窃盗や詐欺、傷害・暴行で服役した人の再入所率を上回る39.3%に達した(刑法犯全体の平均23.4%)。これについて法務省の担当者は「薬物依存者への対応は専門的な知識が必要。保護観察中は大丈夫でも、継続的なケアがなされなければ再び薬物に手を出してしまう人が多い」と語る。

昨年6月には、実刑判決を受けた薬物依存者などの懲役を一部猶予して社会の中で更生させる「刑の一部執行猶予制度」が始まった。猶予期間中、薬物依存者は保護観察となるため、統括観察官が重要になるとの指摘もある。

薬物専門の保護観察官の配置については、公明党の再犯防止対策強化プロジェクトチーム(PT)と法務部会が昨年5月、菅義偉官房長官に要望。同申し入れでは、「認知行動療法」による治療の有効性も訴えていた。

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