全ての特別支援学級でデイジー教科書が使えます

公明新聞:2017年3月15日(水)付

デイジー教科書を活用した授業を視察する山田市議、三浦氏、谷口県議デイジー教科書を活用した授業を視察する(右から)山田市議、三浦氏、谷口県議

市教委が全校一括申請
タブレットを通し 読むことへの興味高める
公明市議の提案受け実現
神奈川・大和市

公明党の三浦信祐参院議員はこのほど、神奈川県大和市立南林間中学校(水嶋淳校長)を訪れ、読むことが困難な児童・生徒向けの音声教材である「マルチメディアデイジー教科書」(以下、デイジー教科書)をタブレット端末を通して利用する特別支援学級を視察し、市の取り組みについて関係者から話を聞いた。これには谷口和史県議、党市議団(吉澤弘団長)が同行した。

同校の中学2年生の特別支援学級では、脳性まひに伴う肢体不自由など、障がいのある3人の男子生徒がデイジー教科書で国語の授業を受けていた。タブレット端末の画面に表示され、音声再生されているのはヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』。最初は落ち着かなかった生徒たちだが、担当教諭が登場人物やあらすじを整理し、朗読を再開すると、次第に落ち着きを取り戻し、物語に引き込まれていった。

「この子たちが読んでもらってきた本というのは、絵本などの幼児向けのものばかりだったんです」と語る担当教諭。誰もが知っている教科書の名作を読ませたいと思い、デイジー教科書を活用することにしたという。

デイジー教科書は、教科書の内容がデジタル化され、パソコンやタブレット端末を通して利用できる。読み上げ音声に合わせて、テキストの該当部分を強調する機能があるほか、文字の大きさや読むスピードなどが自由に調節可能。発達障がいなどにより、通常の検定教科書の文字や図形を認識することが困難であったり、肢体不自由などで通常の紙の教科書を読むことが困難な児童・生徒に無償提供され、現在の利用者数は全国で4500人ほど。

市は2013年度、市立小・中学校3校の特別支援学級にタブレット端末を試行的に導入する際、その中にデイジー教科書の再生アプリ「ボイスオブデイジー」を組み込んだ。これについて市教育委員会・教育研究所の竹中崇所長は「2011年12月定例会で、公明党の山田己智恵市議からデイジー教科書を全小・中学校に導入するよう提案されたことがきっかけ」と語る。

デイジー教科書を利用するには、読むことが困難な児童・生徒本人や保護者、担任などから個別に日本障害者リハビリテーション協会に申請する必要がある。しかし、14年度に全市立小・中学校の全ての特別支援学級にタブレット端末の導入を進める中で、学校側から「一人一人、個別に申請するのは大変だ。教育委員会のほうで何とかならないか」という声が上がった。市教育委員会が同協会と相談した結果、全国で初めて教育委員会が全校分を一括申請することが可能となり、15年度から全特別支援学級のタブレット端末でデイジー教科書が利用できる体制がとられた。

今年度は、1月までに小学校5校、中学校2校で計39人の児童・生徒がデイジー教科書を利用。また、教員に聞いたアンケートによると「読むことへの抵抗感、苦手感、嫌悪感が減った」「読むことに関心、興味が出てきた」「文章の理解度が良くなった」「読める漢字が増えた」などの効果が認められている。

同協会によれば現在、教育委員会が一括申請する方式は大和市のほか、栃木県大田原市、長野県上田市、高知市が採用しているのみだという。

三浦氏「普及を後押ししたい」

三浦氏は視察後、「デイジー教科書は、全ての人が教育を受ける権利を守るものだ。必要とする子どもたちの手元に速やかに届くよう、その普及と活用を後押ししていく」と述べた。

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