部落差別解消へ大きな一歩

公明新聞:2017年1月21日(土)付

公明推進の議員立法

今もなお続く部落差別の解消へ、国や自治体に教育・啓発などを求める「部落差別解消推進法」(以下、解消法)が昨年12月に成立、施行された。同法は自民、公明、民進の3党による議員立法で、公明党の江田康幸、遠山清彦の両衆院議員が提案者に加わった。関係者からは「大きな一歩」との法律制定に対する評価とともに、公明党への感謝の声が寄せられている。

ネットで悪意のある情報   教育・啓発や調査 責務に

今なお根深い問題

sabetu解消法は全6条からなる【表参照】。最大の特徴は部落差別が依然として存在し、情報化の進展に伴ってその状況に変化が生じているとの認識に立っている点だ。

日本では長い間、特定の地域の出身だったり、そこに住んでいることを理由に、一部の人々が不当に差別され、経済的、社会的、文化的に低い状態に置かれることを強いられてきた。

そこで国は、旧同和3法に基づき、自治体と共にこうした地域の生活環境を大きく改善させてきたが、結婚や就職などにおける差別は今も無くなっていない。加えて近年、インターネット上に差別を助長する悪意に満ちた情報が多く見られるようになった。

昨年2月には、その深刻さを象徴する問題も起きた。川崎市にある出版社が全国の被差別部落の地名や人口、地域の人々が従事する職業などを記載した戦前の書籍「全国部落調査」の復刻版をネット通販サイトで販売しようとしたのだ。

その後、出版社には復刻版の出版を禁止する仮処分決定が横浜地裁から出されたが、同書の情報の一部はネット上に出回ったまま。関係者からは、ネットの特性上、「いったん拡散した情報は、半永久的に閲覧できてしまう」と危惧する声も上がっていた。

そこで解消法では、こうした部落差別が生まれないよう、国民の理解を深める施策の実施を国や自治体の責務として明記。具体的な施策の柱として、(1)相談体制の充実(2)教育・啓発(3)実態調査―の三つを掲げた。

解消法は罰則のない理念法だが、“部落差別は許されない”との国会の意思を示したもので、国や自治体による実効性ある施策の実施が求められている。



部落差別の解消に向け、公明党は1999年に「同和対策等人権問題委員会」(江田委員長)を設置し、部落解放同盟など関係団体と継続的に意見交換しながら、問題解決に当たってきた。

2000年には「人権教育・啓発推進法」の制定に尽力。同法に基づく基本計画に女性や子ども、障がい者らへの差別とともに部落差別が人権問題の一つに挙げられ、全国各地で教育・啓発活動が行われてきた。

しかし、それでもなお根強く残る部落差別の解消に向けて、公明党は昨年5月、プロジェクトチーム(遠山座長)を立ち上げ、部落差別に特化した解消法の成立を強力に推進してきた。

江田委員長は「部落差別で多くの方々が苦しんでこられた。解消法の成立を機に、部落差別のない社会の実現に全力で取り組む」と語っている。

念願の法律対策充実に期待

部落解放同盟 組坂繁之中央執行委員長に聞く

組坂繁之―解消法の意義は。

部落差別解消に向けた大きな一歩だ。「部落差別は社会悪」ということが明確になる法律の制定は、われわれの念願だった。

今から30年以上前、部落解放同盟として、教育・啓発活動の充実強化などを通じて根本的な問題解決を図る基本法の制定を目標に掲げた。その後、紆余曲折を経て、ようやく解消法として日の目を見た。人権教育・啓発推進法の制定からも16年ぶりの前進となった。

この間、ネット上に被差別部落の所在地が掲載されるなど、深刻な差別事象が発生するなかで、差別撤廃と人権政策の確立を求める全国的な粘り強い闘いと、こうした声に応えようとする与野党の協力など、法制定に向けた全国的な機運の高まりがあった。特に公明党には、常に一致団結して頑張ってもらい、心強かった。

―解消法は部落差別の実態を直視したものだが。


特に結婚における差別がいまだに根強い。相手が部落出身者だからと親からは反対されたり、周囲からは祝福もされない。本人たちにとって、これほどつらいことはない。たまたま生まれた場所が部落だったわけで、本人たちの努力でどうしようもないことだ。

かつてに比べれば、部落出身者とそうでない人の結婚は増えていると言われる。しかし、同じ小学校区内でこうした結婚が増えているかといえば、いまだに皆無に等しい。

―今後、必要なことは。


一度、生じた差別や偏見を拭い取るのは並大抵じゃない。だからこそ、部落差別の問題について最初に正しく知ることが大事だ。解消法によって教育・啓発活動がさらに進み、国民一人一人が部落差別に対する理解を深めていくことを期待している。

旧同和3法

同和対策事業特別措置法など三つの特別措置法。これにより、1969年から2002年まで道路整備や公営住宅の設置、職業訓練の充実、奨学金の貸与などの地域改善対策が行われた。

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