70歳以上 高額療養費制度見直し

公明新聞:2016年12月16日(金)付

低所得者は据え置き
「一般」の引き上げ 厚労省案を大幅圧縮
石田祝稔政調会長に聞く

高額療養費制度における70歳以上の自己負担限度額の見直しのポイントについて、公明党の石田祝稔政務調査会長に聞いた。

――なぜ見直すのですか。

高齢化に伴い、医療や介護などの社会保障費は年々、大きく伸びている中で、財政の悪化を防ぎ、健全化を進める観点から、その伸びを一定程度に抑えることが求められています。そこで、今回の見直しが行われることになりました。

――見直しに当たっての考え方は。

70歳以上でも一定以上の負担能力(収入)がある人には、相応の負担をお願いしようという考え方です。ただ、年を取れば医者にかかる回数も増え、介護の必要性が出てくる可能性も高くなります。そうした実情を十分に考慮することが大前提となっています。

――公明党は何を主張しましたか。


今回の見直しの最大の柱である70歳以上の高額療養費の自己負担限度額を例に挙げます。公明党はまず、所得の低い人の負担増は断じて避けなければならないと主張し、住民税非課税の人は従来通り据え置くことになりました。

――年収370万円未満で住民税課税の「一般」区分はどうなりましたか。

外来については、当初、厚生労働省が現行の2倍以上となる月額2万4600円に引き上げる案を示しましたが、党社会保障制度調査会で「容認することはできない」と、慎重な検討を求める決議を行いました。この区分の対象は約1240万人と極めて多く、平均的な年金受給額の高齢者も含まれているからです。

この決議に基づき、党としてギリギリの折衝を行った結果、引き上げ幅を大幅に圧縮し、2017年8月からは月額1万4000円、18年8月からは同1万8000円とすることになりました。

――長期間にわたって療養している方への配慮も盛り込まれました。

外来の自己負担額の年間上限を新設し、現行と同じ14万4000円としました。これにより、例えば、現在、年間を通じて毎月、限度額いっぱいの1万2000円を払っている人の負担は据え置かれます。

また、「一般」区分の入院を含めた自己負担限度額は、17年8月以降は月額5万7600円へと改定されますが、年間で4回目からの限度額については、現行通りの同4万4000円に抑える「多数回該当」を設定します。

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