配偶者控除 150万円に拡大

公明新聞:2016年12月9日(金)付

与党税制大綱が決定
来春期限切れのエコカー減税 2年延長
ビール系飲料26年に税率一本化へ

【PDF】平成29年度税制改正大綱[約446KB]

17年度税制改正のポイント自民、公明の与党両党は8日、衆院第2議員会館で政策責任者会議を開き、2017年度税制改正大綱を決定した。これに先立ち公明党は、政務調査会の全体会議と部会長会議、税制調査会総会の合同会議を開き、大綱を了承した。

パートで働く主婦などがいる世帯の所得税を減らす配偶者控除見直しでは、18年1月から配偶者(主に妻)の年収要件を現行の103万円以下から150万円以下に引き上げる。妻の年収が150万円以下までは夫の年収から38万円を差し引き、税負担を軽減。150万円超から201万円までは控除額を段階的に減らし、世帯の手取り収入が急激に減らないようにした。引き上げは、現行の配偶者特別控除を拡大する形で行う。

一方で対象世帯の拡大による税収減を防ぐため、世帯主(主に夫)の年収制限を設定。夫の年収が1120万円以下であれば38万円の控除を満額で適用し、1120万円超で26万円に、1170万円を超えれば13万円に下げ、1220万円超でゼロにする。

個人住民税の配偶者控除も同様の方法で見直し、19年6月から適用する。

酒税では、麦芽比率などで異なるビール類の税率を一本化する。ビールは減税となるが、発泡酒と第3のビールは税率が上がり、26年10月に350ミリリットル当たりの税額を54.25円に統一する。メーカーの商品開発などに配慮し、税額見直しは3段階で行う。ただし、公明党の主張を受け、税率変更の際は「家計に与える影響等を勘案した上で実施する」こととなった。

同じ醸造酒ながら税額の異なる日本酒とワインも2段階で見直し、23年10月に350ミリリットル当たり35円に一本化する。

来春で期限切れとなるエコカー減税は2年延長した上で、現在は新車の約9割に上る対象車を1年目は約8割、2年目は約7割に絞り込む。

中小企業減税では、賃上げ企業の法人税減税を拡充する。また、近年、自然災害が頻発していることを踏まえ、災害に関する税制上の対応の規定を常設化する。

公明党が推進 与党税制大綱の主なポイント

自動車

来春に期限が切れる自動車重量税(国税)や自動車取得税(地方税)のエコカー減税を2年延長し、現在は新車の約9割となっている減税対象を段階的に絞り込む。1年目は比較的緩い2015年度燃費基準を10%上回る車も減税して約8割を対象とし、2年目は最新の20年度基準を上回る車に限定して約7割にする。2段階で対応し、自動車販売に与える影響を緩和する。4割ある非課税の対象車も基準を厳しくし、段階的に約3割まで減らす。

車を購入した翌年度の自動車税や軽自動車税(共に地方税)を軽減する「グリーン化特例」も適用基準を厳格化して2年延長。20年度基準を10%以上上回る車だけ対象とする。

被災者支援

災害で被災した人の生活再建を支援するため、税制面の特例措置を恒久化する。住宅ローン減税の特例を適用し、自宅を再建する際の「二重ローン」の負担を軽減することなどが柱。4月の熊本地震の被災者にもさかのぼって適用する方針。

住宅ローン減税の適用期間中に地震や津波で自宅を失った場合でも、家屋が存在しているとみなし、継続して所得税などの控除が受けられる。災害が被災者生活再建支援法の対象に指定されると、被災家屋と再建家屋の両方に住宅ローン減税を適用。新たに取得した家屋に対する固定資産税と都市計画税も4年間、2分の1に軽減する。

これらの措置は大災害のたびに特例法を創設して実施していた。熊本地震を受け恒久化を決めた。

中小企業など

中小企業向けでは、前年度に比べ2%以上賃上げをした企業を対象に法人税の負担を一段と軽くする。約150万社、日本の全企業数の99%以上を占める中小企業の賃上げを税制で支援し、デフレ脱却を後押しする。

具体的には、2%以上賃上げした企業について、給与支給額増加分の22%を法人税額から控除する。現在は、2012年度比で3%以上賃上げしていれば、給与支給額増加分の10%を控除する仕組みがあるが、拡充する。

一方、社員らの子どもを預かる「企業主導型保育所」について、保育所として使う土地や家屋などにかかる固定資産税を18年度以降、5年間2分の1とする。都市部で深刻化する待機児童問題への対策の一環で、税負担の軽減を通じ企業の保育所設置を後押しする。

今年4月に制度がスタートした企業主導型保育所は無認可だが、保育士の割合などについて認可保育所より柔軟に対応できる。政府はこの設置などを通じ、5万人分の受け皿を確保する方針。

【PDF】平成29年度税制改正大綱[約446KB]

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読