文民の要請で一時保護

公明新聞:2016年11月20日(日)付

北側一雄副代表北側一雄副代表

南スーダンPKO 駆け付け警護
他国軍隊の護衛想定せず
北側副代表に聞く

政府は15日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣される自衛隊の第11次隊に、平和安全法制に基づく新任務「駆け付け警護」を与えるための実施計画を閣議決定した。これについて公明党の北側一雄副代表に聞いた。

南スーダンの平和維持に世界が協力

――自衛隊が派遣されている南スーダンPKOとは。

スーダンの地図北側 南スーダンは、20年間にわたる内戦を経て2011年にスーダンから独立しました。国連は、南スーダンの独立と同時に、PKO(南スーダン派遣団=UNMISS)を設立しました。南スーダンの国づくりを支援し、その平和と安定を図るためですが、それは南スーダンの周辺国、ひいてはアフリカ全体の平和につながるからです。

南スーダンPKOには現在、60カ国以上が参加しています。

日本は12年1月から、陸上自衛隊の施設部隊を派遣し、道路整備や避難民向けの施設づくりを中心に活動しており、南スーダン政府や国連、国際社会から高く評価されています。政府は先月25日、PKO参加5原則が基本的に維持されていることを確認し、来年3月までの派遣延長を閣議決定しています。

――政府は、今後派遣される部隊から新任務として「駆け付け警護」を決めました。

北側 「駆け付け警護」は、昨年成立したPKO協力法改正によって、被災民救援などの業務に当たる施設部隊に追加的に付与する業務として規定されました。

具体的には、自衛隊の活動場所の近くで、国連、NGOなどの文民が暴徒に襲われて救助を求めた時、部隊が応急的かつ一時的にその生命、身体の保護に当たる任務です。ただし、現地の治安維持の責任を負う南スーダン政府の警察や軍、国連PKOの歩兵部隊(治安部隊)が速やかに対応できないという極めて限定的な場面で実施されます。

また、「駆け付け警護」は、PKOの歩兵部隊が行う治安維持活動とは全く別の任務です。自衛隊が派遣しているのは施設部隊ですから、装備も極めて限られており、他国の軍隊を守ることは想定されません。

厳しい治安情勢、20人の邦人が滞在

――厳しい現地情勢が伝えられる中、自衛隊の活動に懸念の声も出ています。

北側 現在、自衛隊が活動する南スーダンの首都・ジュバでは、7月に政府と反主流派の衝突が起こりました。現在のところは比較的落ち着いているものの、治安情勢は決して良いとは言えません。政府も楽観できないとして、緊張感を持って情勢を注視するとしています。また、南スーダンにおける自衛隊の活動地域を「ジュバおよびその周辺地域」に限定することとしています。

ジュバ市内には、国連やNGOの職員として約20人の邦人が滞在しています。厳しい治安情勢を踏まえると、現地に滞在する邦人に不測の事態が生じる可能性はゼロではありません。過去には、自衛隊がPKOとして東ティモールやコンゴ(旧ザイール)に派遣された際、不測の事態に直面した邦人から保護を要請された事例があり、隊員は十分な訓練を受けていない状態で、保護に当たったこともあります。

実際の現場において、自衛隊が近くにいて、助ける能力があるにもかかわらず、何もしないというわけにはいきません。万が一にも、邦人に不測の事態が起こり得る以上、「駆け付け警護」という任務を与え、事前に十分な訓練を行って派遣することが必要です。その方が、邦人の安全を守るだけでなく、自衛隊員の安全確保にも役立つことになります。

また、PKO法上、「駆け付け警護」の実施には、受け入れ国の南スーダン政府の同意が安定的に維持されることが必要ですが、政府も現地でこれを確認しています。このように、現地情勢や訓練状況、法的要件などを総合的に判断し、今回の決定に至っています。

公明、隊員の安全重視。活動が困難なら撤収

――閣議決定に至る過程で、公明党が政府に求めたことは。

北側 隊員の安全確保が最重要です。15日に閣議決定された実施計画には、公明党の意見を踏まえ、PKO参加5原則が満たされていても、安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難な場合には、派遣部隊を撤収すると明記されました。

今後も政府に対し、流動的な現地情勢を注視するよう求めていきます。公明党も与党として厳格にチェックしていきます。

PKO参加5原則

(1) 紛争当事者間の停戦合意の成立

(2) 紛争当事者のPKO派遣への同意

(3) PKOの中立性の確保

(4) (1)~(3)のいずれかが満たされない場合には、部隊を撤収

(5) 武器の使用は、要員の生命防護のための必要最小限度のものを基本

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