訪日客2000万人突破

公明新聞:2016年11月1日(火)付

16年 1月から累計、暦年で初

石井啓一国土交通相(公明党)は31日、2016年の訪日外国人数が10月30日に年初からの累計で2000万人を超えたと発表した。暦年(1~12月)での訪日客2000万人突破は初めて。15年は前年比47.1%増の1973万人だった。日本と海外を結ぶ航空路線の拡充や格安航空会社(LCC)の便数増加、訪日客誘致に向けた官民の取り組みなどが奏功し、アジアを中心に増加が続いた。

暦年の年間訪日客数は13年に初めて1000万人を超えた。16年の訪日客数は1~9月の累計で前年同期比24.1%増の1797万人となり、10月までの累計で前年1年分を上回る公算が大きくなっていた。年度ベースでは、15年度(15年4月~16年3月)に2135万人と一足早く2000万人の大台に達している。

政府は20年の訪日客4000万人の目標を掲げている。目標の達成には、地方への訪日客誘致の強化や、繰り返し日本を訪れるリピーターの拡大、宿泊施設の不足を解消する取り組みなどが課題となる。中国人客の「爆買い」と呼ばれた旺盛な買い物は急速に沈静化。大手百貨店は相次いで今年度の業績予想を下方修正し、訪日客を当て込んだ販売戦略の見直しを迫られている。

菅義偉官房長官は31日の記者会見で、「(訪日客の)勢いは今年も衰えることなく、成果に表れた。4000万人をめざし、できることはすべてする」と語った。

観光立国をめざし公明が積極的推進

公明党は観光立国や地域経済活性化の観点から、訪日外国人客の拡大に向けた海外への情報発信、入国審査手続きの簡素化などの観光政策を推進してきた。太田昭宏前国交相(公明党)の時代から矢継ぎ早に政府の手が打たれ、訪日外国人客の受け入れ態勢が徐々に整い、成果に表れ始めていた。

訪日外国人4000万人へ

地方への誘客がカギ 政府

政府の広域観光周遊ルート

○アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道(北海道)

○日本の奥の院・東北探訪ルート(青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、新潟)

○昇龍道(富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、愛知、三重、滋賀)

○美の伝説(福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、徳島)

○せとうち・海の道(兵庫、岡山、広島、山口、徳島、香川、愛媛)

○スピリチュアルな島~四国遍路~(徳島、香川、愛媛、高知)

○温泉アイランド九州 広域観光周遊ルート(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)

○日本のてっぺん。きた北海道ルート。(北海道)

○広域関東周遊ルート「東京圏大回廊」(福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野)

○縁(えん)の道~山陰~(鳥取、島根、山口) ○Be.Okinawa 琉球列島周遊ルート(沖縄)

2016年の訪日外国人旅行客が初めて2000万人を突破した。政府は今年3月に策定した観光ビジョンで、訪日客を20年に4000万人に引き上げる新たな目標を設定しており、2000万人超えについて観光庁幹部は「一つの通過点」と評価。現在の倍の誘客をめざす新たな目標を達成するには、大都市に集中する訪日客を地方に呼び込むことがカギとしている。

観光庁によると、現在は訪日客の約6割が東京、名古屋、京都、大阪を結ぶ「ゴールデンルート」に滞在し、それ以外の地方を訪れる人は少数派だ。

政府はこれまで、全国から景観や歴史、温泉といったテーマ性を持たせる「広域観光周遊ルート」を公募し、名古屋から岐阜県の飛驒高山地方を抜けて富山、金沢両市へ至る「昇龍道」など11ルートを認定。海外の旅行会社にPR中で、ルートに基づいた人気ツアーが生まれることに期待を寄せている。

酒蔵や映画のロケ地、神社仏閣などそれぞれの切り口で全国を巡る旅行についても、周遊プランづくりやプロモーションを支援。古民家や農家に滞在する観光の振興に向け、検討会も立ち上げた。航空会社が地方路線の料金を割り引きしやすい環境を整えるため、空港着陸料の引き下げ幅の拡充なども行う。

ただ、こうした取り組みは緒に就いたばかり。同庁幹部は「現状に安心せず、着実に取り組むことが必要だ」と気を引き締めており、今後多くの外国人に地方に関心を持って足を向けてもらうには、国と地方、民間による継続的な努力が不可欠としている。

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