県初の聴導犬 誕生へ

公明新聞:2016年10月6日(木)付

県庁内で谷本知事と懇談する増江県議、有馬会長、東さんら県庁内で谷本知事(中央)と懇談する(右から)増江県議、有馬会長、東さんら

石川県が育成費を助成
障がい者の願いかなう

聴覚障がい者の安全・安心な生活を補助する聴導犬の普及を後押しするため、今年度から育成費用の助成事業を始めた石川県で、第1号の聴導犬が誕生する見通しとなった。初のユーザーとなる予定の東義一さん(80)はこのほど、聴導犬を育成する日本聴導犬協会(長野県宮田村)の有馬もと会長と共に石川県庁を訪れ、谷本正憲知事に感謝の言葉を述べた。これには、公明党の増江啓・石川県議が同行した。

日本聴導犬協会会長「公明議員の協力に感謝」

聴覚障がい者の“耳”となる聴導犬は、火災報知器や緊急地震速報の音が鳴った際などに、ユーザーに危険を伝え、命を守る重要な役割を担うほか、玄関のチャイムや目覚まし時計など日常生活に関わる音も伝える。

しかし、聴導犬の普及は、盲導犬に比べて後れを取っている。全国で966頭いる盲導犬に対し、聴導犬は65頭(厚生労働省「補助犬の実働頭数」7月1日現在)。聴導犬は日本聴導犬協会など都道府県知事に届け出た国内の訓練事業者が育成し、聴覚障がい者に貸与しているが、育成にかかる費用は募金や寄付金に頼っているのが現状だ。訓練事業者の数も少なく、普及が進まない。

石川県においても盲導犬は21頭いるが、聴導犬は1頭もいなかった。既に訓練費用助成の対象になっている盲導犬に比べて「補助犬」としての認知度も低く、聴覚障がい者が希望しても、どこに相談していいのか分からない状況だった。

同県内灘町で単身で生活している東さんは、幼少時代に難聴になり、聴導犬の貸与について町役場に相談したが、前例がなく分からないということだった。それでも諦めず、自力で模索する中、日本聴導犬協会と出会い、貸与を受けられることを知った。しかし、自身の経験から、聴導犬のスムーズな利用には行政による後押しが必要だと痛感した。

公明党はこれまでも聴導犬の普及に尽力。特に長野県では、公明党県議が同協会と連携を取り、聴導犬の普及に向けて取り組んでいる。こうした中、東さんを通して石川県で聴導犬のニーズがあることを知った有馬会長は、太田昌孝・長野県議に「石川県では、盲導犬の育成は県の助成対象だが、聴導犬は対象外となっている。県から助成を受ける手立てはないか」と相談した。

公明党のネットワークで太田県議から実情を聞いた増江県議は、有馬会長と連携。昨年3月の県議会予算委員会を通じて「障がいの種類によって、助成の有無に差があってはならない」と訴え、聴導犬の育成への助成を主張。今年1月にも東さんと有馬会長と共に県側に要望を行うなど、粘り強く取り組んできた。

こうした行動が実を結び、今年度から聴導犬が県の助成対象に決定した。県によると、聴導犬の育成にかかる約300万円のうち、約200万円を県が同協会に助成する。有馬会長は「聴導犬育成の助成は、自治体によって温度差があり、公明議員の協力で実現できた」と感謝の声を寄せた。

東さんは現在、同協会から紹介された雌の「みみ姫」(シーズー)と共に自宅訓練などを実施中。年内には、厚労相の指定法人が行う犬の能力とユーザーの管理能力を見極める認定試験を受ける予定で、合格すると県内初のユーザーに認定される。谷本知事との懇談の中で東さんは、「視覚と聴覚の障がいを同等に扱ってもらってありがたい」と感謝を述べ、聴導犬のさらなる普及に期待を寄せた。

公明が補助犬の普及を一貫して推進

聴導犬などの「補助犬」がユーザーと同伴で公共交通機関を利用する際に、断られる事例が発生したことを受け、2002年に「身体障害者補助犬法」が成立。これは公明党の主導で超党派の議員立法として制定されたもの。聴導犬、介助犬、盲導犬の3種類を補助犬として法的に位置付け、公共交通機関などでの受け入れを義務化するなど、公明党の国会議員と地方議員が一体となり、補助犬の普及に取り組んでいる。

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