高齢者など「入居拒否」解消へ

公明新聞:2016年9月17日(土)付

行政が補助、未回収家賃に保証

厚生労働省は13日、全国の100歳以上の高齢者が過去最多の6万5692人になったと発表した。総人口が減少する中、65歳以上の割合である高齢化率は上昇を続け、2035年には33.4%に達する見通しだ。今後さらに必要となるのが高齢者の住まいの確保だが、「高齢」を理由に入居拒否されるケースも少なくない。

日本賃貸住宅管理協会の実態調査(15年度)によると、家主の約7割は高齢者の入居に対して拒否感があるという。入居制限の理由としては「家賃の支払いに対する不安」が最も多く61.5%。大阪府が09年に公表した実態調査でも、家主から入居拒否の申し出を受けた高齢者は3割に上る。

川崎市で先進的な取り組み

川崎市居住支援制度こうした課題を抱える中、川崎市は00年、党川崎市議団(花輪孝一団長)の推進で、全国に先駆けて居住支援制度を創設した。

同制度は、連帯保証人を確保できないために入居を拒否される高齢者や障がい者らを支援。市指定の保証会社が、家賃の滞納や死亡時の退去などにかかる金銭的な保証をする【図参照】。利用者は月額家賃に共益費を加えた額の35%を2年分の保険料として、保証会社に支払う。保証会社が利用者から請求額を回収できなかった場合、市は保証履行額の2分の1を補助。保証会社が間に入ることで家主が安心して契約をできる仕組みになっている。これまで制度を活用した世帯数は累計で2173件に上り、その約80%が高齢者だ。

また、市では利用者が病気や事故に遭った場合には、市や関係団体が見守り支援なども行う。市担当者は「地域で安心して暮らし続けるためには、入居後の継続支援も欠かせない」と話す。

広がる支援協議会

公明党の推進で07年に「住宅セーフティネット法」が成立した。住宅の確保に配慮が必要な高齢者や障がい者らが、民間住宅に円滑に入居できるように、NPO法人や業者、自治体などで構成する居住支援協議会の設置規定を盛り込んでいる。同法施行を受け、現在、全国には63協議会(47都道府県、16市町村)が設立され、今年6月には川崎市にも支援協議会ができた。市担当者は「市単位でつくることで、より地域のニーズに合った支援につなげられる」と話し、市区町村レベルでの居住支援協議会の広がりに期待を寄せる。

党PTが制度調査

生活困窮者への支援に取り組む公明党生活支援プロジェクトチーム(PT、山本香苗座長=参院議員)は14日、川崎市を訪れ、居住支援制度について担当者から話を聞き、意見交換した。山本座長は「川崎市の取り組みを参考に、入居から退去までの住宅支援の機能強化に努めていきたい」と述べた。

公明新聞のお申し込み

公明新聞は、激しく移り変わる社会・政治の動きを的確にとらえ、読者の目線でわかりやすく伝えてまいります。

新聞の定期購読