市主催で初めて ペット同行の防災訓練

公明新聞:2016年9月15日(木)付

市の総合防災訓練を訪れ、参加者や松岡理事長らと懇談する青野市議市の総合防災訓練を訪れ、参加者や松岡理事長(中央)らと懇談する青野市議(右端)

遊具で専用の避難所づくり
梅屋学区 飼い主と一緒に起震車体験
京都市

京都市は3日、市内6会場で市総合防災訓練を実施。このうち同市下京区の市立光徳小学校の会場では、ペット同行避難に重点を置いた訓練を行った。これには、光徳小学校区以外の市内行政区の自主防災会長らの代表も参加。同市主催の防災訓練でペット同行避難訓練を行うのは初めてで、全国的にも珍しいという。光徳小学校区での訓練を受け、今後、各学区でのペット同行避難訓練の実施につなげていくのが狙いだ。

光徳小学校での防災訓練は朝9時半からスタートし、周辺住民らが犬11匹、猫1匹をそれぞれ連れて参加。京都府内を中心にドッグセラピーやペットと防災を考える活動を展開する認定NPO法人アンビシャス(松岡幸子理事長)のメンバーと市保健福祉局の職員らが、講師と進行役を務めた。

まず職員が、各避難所でペットを受け入れる際のポイントとして、①ペット避難用のスペースをどこに設置するかを決めておくこと②避難所ごとに事前にペット受け入れのルールをつくること③日ごろから飼い主が責任を持って準備すること――の3点を強調した。

運動場の遊具を活用したペットの即席避難所で訓練に参加する飼い主らその後、運動場にある遊具のうんていにシートを掛けて屋根にし、陸上用ハードルやベニヤ板を使って仕切りを設けるなど、即席のペット避難所づくりを実演。そこにペットを飼い主が誘導し、首輪でつないだり、ケージ(ハウス)に入らせる練習を行った。

こうした訓練を踏まえて松岡理事長は、いざというときに備えて、普段からケージの中で過ごせる習慣付けや、トイレも飼い主の合図で決まった場所(おしっこシート)にできるようにしつけておくことの重要性を強調。さらに、エサや水、薬などペットの避難用グッズの準備や、ペットの飼い主同士が災害時の助け合いのコミュニティーをつくることの大切さを訴えた。

同市中京区からミニチュアダックスのオス犬と一緒に参加した大前美由紀さん(53)は、「いつどんな災害があるか分からないので、日ごろから備えておこうと思って参加した。こういう避難所の雰囲気にも慣れておくことが大事だと感じた」と語っていた。

NPO法人が講師、公明も推進

ペット同行避難の推進については、市議会公明党の青野仁志議員が定例会質問などを通して一貫して主張していた。同議員はこの日の訓練にも足を運び、参加者に次々と声を掛けていた。

訓練終了後、門川大作市長は「東日本大震災や熊本地震など大きな災害があるたびに、ペットの同行避難の課題がクローズアップされてきた。今回の取り組みが全国のモデルになればいい」とあいさつした。

なお、今回の市総合防災訓練の翌日に行われた同市梅屋学区自主防災会の避難訓練では、飼い主がペットと一緒に地震体験車(起震車)に乗車したり、煙のトンネルを通り抜ける体験をした。

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