下請企業の収益向上へ

公明新聞:2016年8月1日(月)付

多くの下請け企業関係者が受講した価格交渉セミナー=7月27日 都内多くの下請け企業関係者が受講した価格交渉セミナー=7月27日 都内

価格交渉セミナーが好評
参加者「政府の支援は心強い」
ノウハウ示す冊子(ハンドブック)を提供

下請け取引では、中小企業や小規模事業者が発注側の大企業などから理不尽な要求を突き付けられるケースが少なくない。しかし、経済の好循環へ、中小企業の収益を向上させ、賃上げの原資を確保するためにも、価格の適正化など下請け取引の改善が不可欠だ。政府は現在、公明党の主張を受け、取り組みを強化。このうち、下請け企業に発注側との価格交渉のノウハウを身に付けてもらう中小企業庁の「価格交渉サポート事業」では、ハンドブックを作成し、6月からはセミナーをスタートさせた。来年3月末までに全国計200カ所で開催する予定。

公明推進し全国200カ所で開催

7月27日に東京都内で開かれたセミナーの会場を訪ねると、定員60人の貸会議室の座席は、下請け企業の関係者らでほぼ全て埋まっていた。全員に配られたのが、「価格交渉ノウハウ・ハンドブック」。これに沿って、講師の中小企業診断士が約2時間、講義した。

法令違反の恐れがある下請けへの要求例「こんな取引には要注意ですよ!!」。講師は、原材料価格などの上昇を無視した価格据え置きの強要など、法令違反の恐れがある事例を一つ一つ説明。その上で、取引の改善に向けた価格交渉をうまく進めるための具体的な手法を説いた。

さらに、「価格交渉で使えるテクニック」を伝授。値上げの必要性を示す合理的なデータを提示する必要性などを強調した。中小企業庁が専門家による個別相談指導(無料で3回まで)を実施していることも紹介し、必要に応じて窓口の「価格交渉サポート相談室」(0120-735-888)に相談するよう促した。

終了後、金型製造会社(従業員約50人)の担当者は「下請法の内容が明確に理解できて良かった」と述べ、ハンドブックについて「役所の書面として法令違反の事例が書いてあるので、発注側との交渉での大きな武器になる」と高く評価。繊維会社(同100人)の担当者は、「政府による支援は、とてもありがたい。心強い」と語った。

なお、セミナーの開催日程やハンドブックは、全国中小企業取引振興協会のホームページ(http://www.zenkyo.or.jp/kakakusupport/)から入手できる。

下請け取引改善に向けて政府は、自動車、繊維など16業種ごとに適正取引へのガイドライン(指針)を作成しているが、難解な面もあり関係者に十分浸透していなかった。そこで、公明党は今年4月に政府へ提出した提言などを通じ、下請け企業が活用しやすいパンフレットの作成など、取引適正化の実効性を高める取り組みを政府に要請。西田実仁参院幹事長らも国会質問で取り上げた。その結果、今回のハンドブック作成やセミナー開催が実現した。

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