第1号が「出荷」開始へ

公明新聞:2016年7月23日(土)付

高須教授から報告を受けた党PT=21日 衆院第2議員会館高須教授(左端)から報告を受けた党PT=21日 衆院第2議員会館

さい帯血から作ったiPS細胞
再生医療用で高品質
高須京大教授が公明に謝意

赤ちゃんのへその緒や胎盤にある「さい帯血」で作った、臨床に使える人工多能性幹細胞(iPS細胞)が、7~8月中の出荷開始を予定している。21日に衆院第2議員会館で開かれた公明党造血幹細胞移植推進プロジェクトチーム(PT、座長=山本香苗参院議員)の会合で、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)副所長の高須直子教授が報告した。NPO法人・さい帯血国際患者支援の会の有田美智世理事長が同席した。

iPS細胞は人体のあらゆる細胞に分化できる能力があり、再生医療への活用が期待されている。また、良質のiPS細胞を作り出すには、さい帯血が有効だとされている。

出荷開始となるのは、他人の細胞から作製し、品質評価されたiPS細胞を保管しておく「再生医療用iPS細胞ストック」のさい帯血由来第1号。この方法は、患者本人の細胞を使うよりも時間と費用を削減できる。移植時の免疫拒絶反応を防ぐため、細胞の血液型といわれるHLA型については、拒絶が起きにくい組み合わせ(HLAホモ)を持つ人の細胞が使われている。

今回のiPS細胞は、日本人の中で最も多い頻度のHLA型を有しており、日本人の約17%をカバーしている。遺伝子の変異が少ないなど品質も高いという。

一方、高須教授は今回のさい帯血利用に関して、提供者らに同意を取るために説明会参加を依頼したものの、協力を得られにくかったと指摘。CiRA所長の山中伸弥京大教授が昨年7月、当時、厚生労働副大臣だった山本座長に手続きの合理化や研究利用の環境整備を要望したことに触れた。

その上で結果として、文書を送付すれば電話説明でもよいことが厚労省から確認できたほか、日本赤十字社が管理するさい帯血バンクとの連携なども進められると説明した。

また、公明党が主導した造血幹細胞移植推進法の制定などに言及し「公明党や有田理事長には、iPS細胞へのさい帯血利用の『地盤』をつくっていただいた」と強調。出荷開始に当たり「皆さんのおかげでここまで来た」と謝意を示した。

このほか高須教授は、75種のHLAホモで日本人の約80%をカバーできるとして、iPS細胞ストックの構築をさらに進めていくと述べた。

山本座長は「今後も着実に前に進むよう取り組みたい」と語った。

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