「買い物弱者」を支援しよう!

公明新聞:2016年7月21日(木)付

かあべえ屋で買い物する地元の住民ら=19日 東京・檜原村かあべえ屋で買い物する地元の住民ら=19日 東京・檜原村

人口減少、高齢化で全国に700万人
東京・檜原村

日常の買い物に苦労している「買い物弱者」が高齢者を中心に増えている。過疎地や地方都市に加え、都市部の大規模団地などでも、問題になり始めている。こうした事態に対応するため、行政や企業、住民らが協力して、さまざまな支援策が広がりつつある。

3セクでスーパー開店

宅配サービスの実施も予定

都心から約50キロ離れた山あいに位置する東京都檜原村。人口2312人(7月1日現在)で、65歳以上の高齢化率は47.9%(同)だ。

同村は今月13日、買い物弱者を支援するため、村の中心部に第三セクターの運営によるミニスーパー「かあべえ屋」をオープンさせた。こうした運営形態は、全国的にも珍しい取り組みだという。

ミニスーパーは、コンビニ規模の店舗に、野菜や肉などの生鮮食品や日用品を約600種類取りそろえている。営業時間は、午前10時から午後8時までで、年中無休(年末年始を除く)。開店から毎日約200人以上が利用するなど、「お客さんの評判も上々」(村の担当者)だ。

住民に喜ばれているミニスーパーだが、開店するまでには、多くの課題があった。

かつて村内には、雑貨店などが約50店あったが、人口の減少により、現在は10店ほどに減った。村の調査によると、車で移動できる住民は、約10キロ離れた村外のスーパーに出掛けたり、足が不自由な高齢者らは、民間企業の移動販売や宅配サービスに頼らざるを得ないなど、多くの住民が買い物に対して不便さを感じていた。

村はこれまで、「行政として買い物弱者支援を積極的に行えば、地元商店の経営を圧迫しかねない」(同)と、本格的な対策をためらっていたが、地元商店などと協議を重ね、民間企業のコンビニやスーパーを誘致することに。しかし、各社とも採算が取りづらいとして出店を見送ったため、村などが出資する第三セクター「めるか檜原」を指定管理者とし、ミニスーパーの開店に踏み切った。

「かあべえ屋」を訪れた山﨑哲彦さん(58)は「(開店を)ずっと待っていた。皆、助かっている」と話した。60代の主婦は「口コミの評判が良くて来てみた。商品が思ったより安いのがうれしい」と笑みを浮かべていた。

今年秋ごろには、1人暮らしの高齢者や障がい者世帯向けに、村内の他店と連携した宅配サービスも始める予定だ。

事業者の採算性確保などに課題

経済産業省によると、買い物弱者は、全国で約700万人いると推計され、人口減少や高齢化に伴い、増加傾向にあるという。農村や山間部など、過疎地で店がなく、物理的に買い物が難しい地域に加えて、今後、高齢者が増加傾向にある大規模団地など、都市部でも問題が深刻化すると懸念されている。

こうした状況に対して、東京都多摩市の「多摩ニュータウン」では今年4月から、UR都市機構、ヤマトホールディングス株式会社と同市が連携し、買い物代行や部屋の掃除、電球の取り替えなどの家事代行を請け負う事業をスタートさせている。団地内に設置した拠点を活用して、買い物の利便性向上を図るほか、地域コミュニティーの活性化につなげたい考えだ。

都市部の団地でもコンビニ誘致

また、UR都市機構は今月5日、コンビニ大手3社と協定を結び、URが管理する団地の空き店舗にコンビニを出店させることを発表した。URは全国に1664団地(2015年度末時点)を管理しており、高齢者世帯が約4割を占める。かつてスーパーや商店があった空きスペースを抱えるURの全国100団地程度への出店をめざす。

買い物弱者対策は、商品の宅配や買い物代行、買い物弱者の多い地域での移動販売や買い物場所の開設などのほかにも、店までの移動手段を提供するサービスなど、多岐にわたって展開されている。

一方、共通の課題となっているのが、サービスを提供する事業者の採算性や、行政、住民の協力・連携をどう確保していくかだ。買い物できない状況が続けば、食事が満足に得られない上に、低栄養による病気の発症、医療費や介護費の増加などのリスクが高まることも指摘されている。地域のニーズに応じた、きめ細かい支援のあり方が求められている。

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