カブトムシを育ててみよう! 

公明新聞:2016年7月1日(金)付

育て方のポイント 育て方のポイント 

夏休みの自由研究にも

今年の夏休みの自由研究などに、カブトムシを育ててみませんか? 育て方や注意すべきポイントについて、東京都小金井市で昆虫などを取り扱っているショップ「ランバージャック」の山口学店長にアドバイスしてもらいました。

温度調整が最も大事

カブトムシは世界で1000種類以上いると言われています。ここでは身近な昆虫ショップやホームセンターなどで手に入る日本のカブトムシの育て方について説明します。

カブトムシを育てるために必要な道具は、しっかりと選びましょう。

まずはケースについて。山口さんは「カブトムシのエサにつられて、カブトムシの健康に害を及ぼす小バエが入ってくるので、小バエが入らないように小さな通気口のあるケースを選びましょう」と教えてくれました。

次にケースの中に入れる昆虫マット(栄養を含んだ土)です。さまざまな種類が出ていますが、特別なものを使う必要はありません。身近で手に入るもので大丈夫です。

また、自然では木にしがみついて生活しているカブトムシには転倒防止用の枝が欠かせません。しがみつく物がないと、逆さまに倒れてしまった場合、自力で起き上がれずに死んでしまうことも多々あるためです。なお、枝については「自然のものだと菌が付着しているものもあるので、市販のものを使う」のがポイントです。

最後にエサについてです。カブトムシに果物をあげる人もいますが、注意が必要です。スイカなどの水分量が多い果物はカブトムシの健康に悪影響を与えます。リンゴやバナナなどは与えても大丈夫ですが、「市販の昆虫ゼリーが一番オススメ」と山口さんは言います。

子どもたちに人気のカブトムシのオス(左)とメスのペア

ケース、昆虫マット、転倒防止用の枝、エサを準備したら、実際にカブトムシを育てる環境を作ってみましょう。

まずは昆虫マットを敷き詰めるのですが、買ってきた昆虫マットをそのまま使わないように注意します。「しっかりと水分を含ませることが重要」と山口さん。広い新聞紙の上などに昆虫マットを広げ、そこに水をかけて手でよく混ぜましょう。

「オスとメスのペアを飼って卵を産ませたいときは深さ10センチ以上、敷き詰める」ようにします。この時、ケースの底に敷く昆虫マットは“手で握って団子になるくらい”を目安に硬めにします。この硬めの昆虫マットの上に敷き詰める昆虫マットは“ほんのり湿っているくらい”の軟らかめにしましょう。

硬い昆虫マット(6センチ~7センチ)の上に軟らかい昆虫マット(3センチ~4センチ)を敷くのは、メスが土に潜って卵を産むときに、潜りやすくするためです。

ケースに昆虫マットを敷いたら、その上に好きな配置で転倒防止用の枝とエサを置きます。これで、カブトムシの飼育ケースは完成です。


オスとメスのペアに卵を産ませて幼虫を観察

ケースが完成したらカブトムシのオスとメスを入れて育ててみましょう。日々のカブトムシの動きを観察しながら、土のお手入れなど、カブトムシが住みやすい状態を維持しましょう。

具体的には、土の表面が乾いてきたら、適度に霧吹きで水分を含ませます。ケース内側の表面の掃除やエサの交換も忘れないように。中でも、最も大事なのは温度です。山口さんは「適温は25度くらいなので、直射日光を避け、30度を超えないように気を付けてください」と強調します。

オスとメスを同じケースで育てていると、カブトムシは自然と交尾をします。交尾をしたメスは土の中に潜り、卵を産みます。「確実に卵を取りたい場合は交尾を確認したら、オスを他のケースに移してメスだけにするのがベスト」です。オスは交尾欲が非常に強く、交尾が度重なると、卵を産む前にメスが死んでしまうことがあるためです。

一回の産卵でメスは複数の卵を産みます。「卵からかえった幼虫を育てるときは、一つのケースにたくさん幼虫を入れないことが大事」。ケースを増やすなどして対応しましょう。

山口さんは「幼虫になってから3カ月間は頻繁に昆虫マットを交換するようにしてください」とアドバイスします。これは、昆虫マットに含まれる栄養分が幼虫のエサになるためです。このときの土の硬さは飼育ケースの下に敷いていたのと同じく、硬めにするといいでしょう。

幼虫は来年の春までエサを食べながら成長していき、5~6月にはサナギになります。その後、羽化して成虫になり、6月末ごろには地上に出てきます。

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