主張有給休暇の取得促進 効果の検証にも力を入れよ

公明新聞:2016年5月3日(火)付

この大型連休期間中、思い思いの過ごし方で気分をリフレッシュされている人も多いだろう。適度な休養は労働者の生活の質を向上させるだけでなく、企業側にもメリットがある。そうした視点から、年次有給休暇(有休)を取りやすくするための試みがクローズアップされている。

公明党は4月28日、夏に行われる参院選の重点政策を発表し、この中で、若者・女性の活躍に向けた「働き方改革」の具体策として、有休の取得促進を提唱している。

労働者の法律上の権利である有休は最低でも年10日、勤務年数により最大年20日が与えられ、残りは翌年度に限り繰り越せる。だが、「同僚に迷惑が掛かる」などの理由で利用をためらう人は多い。特に、人手に余裕のない中小企業や小規模事業者の従業員にとっては、なおさら取りづらいであろう。わが国の取得率は5割に満たず、他の先進諸国に比べて極めて低い。

労働者の心身の健康を維持し、仕事への意欲を高め、業務の効率アップにつなげる。企業にとって、有休取得の環境を整備する利点は大きい。業種別に作成された厚生労働省の「働き方・休み方改善ハンドブック」では、「行員からの前向きな評価の声や定着率の向上、採用面でのPR効果も見られる」(地方銀行)など有休の取得促進の成果が紹介されている。政府には、より幅広い業種で先進事例を収集し、普及・啓発に役立ててもらいたい。

さらに重要なのは、効果の詳細な検証にも力を入れることだ。生産性の改善具合などを企業が具体的に実証できれば、職場の理解も一層進むであろう。

公明党は、重点政策の発表に先立ち政府に申し入れた「1億総活躍社会」に関する提言でも、有休の取得促進に言及。年10日以上の有休が与えられる労働者に対し、そのうち5日は時季を定めて取得させるよう、企業への義務付けを主張した。これに加えて、「半日単位や時間単位などの分割取得を推進する」と明記。どこまでも利用者の側に立った公明党らしい訴えだ。

制度の見直しを進めながら、「有休の取得はメリットが多い」という意識を高め、社会全体で共有していきたい。

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