日本版ネウボラ全国展開へ 子育て支援切れ目なく

公明新聞:2016年4月7日(木)付

妊娠から育児まで ワンストップ相談窓口
児童虐待予防の拠点機能も
公明の提案で法的位置付け

「ネウボラ」のイメージ妊娠から出産、産後まで切れ目なくワンストップ(1カ所)で総合的な相談支援を行うため、公明党が設置を推進してきた「子育て世代包括支援センター」(日本版ネウボラ)の全国展開が今年度、さらに進む。

同センターは2015年度末時点で138市区町村が設置。16年度は251市区町村(423カ所)まで拡大する予算を確保している。政府は、おおむね20年度末までに全国展開し、併せて地域の実情に応じた産前・産後のサポートや産後ケアの事業も推進する。また政府は、今国会に児童福祉法等改正案を提出しており、日本版ネウボラを法的にも位置付ける方針だ。

ネウボラは、北欧のフィンランドで1920年代に始まった子育て支援拠点で、フィンランド語で「助言の場」という意味。“日本版”では子育て支援策をワンストップで対応する。核家族化の進行で不安を抱えがちな子育て世帯に対し、保健師やソーシャルワーカーなどが妊娠中から出産、産後までを継続して支援する安心の体制をつくり出す。

日本の子育て支援の仕組みは、妊娠時に渡される母子健康手帳の交付は役所、妊娠中の健診や両親学級は医療機関や保健所、出産後の支援は保健所や子育て施設と毎回、違う場所に足を運ぶ必要がある。また、乳児の状況を自治体が把握するには時間がかかり、虐待のリスクも高まる。虐待死に占める0歳児の割合は約44%(厚生労働省の2013年度調査、心中除く)と高く、出産直後に支援へつなげることが欠かせない。同センターが児童相談所などと連携して状況を把握することで、虐待予防の拠点となることも期待されている。

結党50年ビジョンで整備・普及提言

公明党は、14年に発表した「結党50年ビジョン」の中で「妊娠・出産・育児の切れ目ない支援を行う母子支援地域拠点(例・フィンランドの「ネウボラ」)の整備・普及が望まれる」と、他党に先駆けて提言。その後も、国会質問や要望の中で強く訴えた。

今年1月の参院本会議では、山口那津男代表が同センターの全国展開に向け「好事例や仕組み、メリットなどを周知し、導入促進を」と主張した。法的な位置付けに関しては、西田実仁参院幹事長が3月の予算委員会で「(同センターは)予算措置で安定していない。市町村の取り組みを促すためにも法定化すべきだ」と提案。厚労相が法的に位置付ける同改正案を今国会に提出する方針を示していた。

親を支える大切な仕組み

党次世代育成推進本部長

古屋 範子 副代表

時代とともに家庭や地域のあり方が変化する中で、妊娠、出産、子育てと切れ目なく親を支える仕組みが極めて大切になる。そうした意味からも子育て世代包括支援センターを全国展開することは重要だ。また、増え続ける児童虐待対策においても、一人一人の状況を把握し、寄り添う「日本版ネウボラ」には大きな役割が期待されている。

今国会には、公明党の推進により、法律で日本版ネウボラを位置付ける児童福祉法等改正案が提出されているので、成立をめざしたい。

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