主張地方発の施策に期待したい 自殺は防げる

公明新聞:2016年3月29日(火)付

「誰も自殺に追い込まれることのない社会」実現への弾みとしたい。

公明党の強力な推進で成立した改正自殺対策基本法が4月から施行される。同法では、これまで国だけに義務付けていた自殺対策の計画策定が自治体にも求められる。子どもの自殺予防へ学校が保護者や地域と連携し、教育や啓発に努めることも盛り込まれた。実効的な施策を望みたい。

今後、自治体が計画を立てる上で、参考になる事例がある。秋田県では、民間団体と秋田大学、行政の連携で相談事業や住民交流活動など「地域づくり型」の対策を続け、自殺者数は、過去最多の時点から40%以上も減少した。

東京都足立区では、法律相談機関や福祉事務所、保健総合センターなど官民の関係機関が連携して、相談者の悩みに寄り添い、課題解決をめざす「都市型対策モデル」が効果を上げている。

これら二つの事例をはじめ、予防に結果を出している自治体に共通するのは、地域での自殺者の年齢や職業といった属性を分析、自殺の危険性の高い状況にある住民に対して関係機関が連携し、総合的に支援していることだ。住民の意識を高めるため、啓発活動にも力を入れている。

積極的な予防に取り組む事例がある一方で、対策を講じていない自治体もある。命を守る施策に、地域格差があってはならない。

内閣府のホームページでは毎月、全市区町村の自殺統計が公表されており、年代や職業別、原因・動機、自殺未遂歴の有無といった情報も得られる。地域における自殺の傾向性を把握した上で、実情に応じた計画を策定すべきだ。

全国の自殺者数は、1998年から14年連続で3万人を超えていた。それが2006年成立の自殺対策基本法で「自殺は防げる」との理解が広がり、対策の進展で10年から減少に転じ、昨年は18年ぶりに2万5000人を下回った。だが、楽観できる状況ではない。15~34歳の死因の第1位に自殺が挙げられるのは、先進7カ国では日本のみで非常事態に変わりはない。

これから、自殺対策の主役は地方が担う。自治体、そして地方議員の知恵と力の出しどころと自覚したい。

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