奨学金(無利子)に新制度

公明新聞:2016年3月28日(月)付

所得に応じて返還可能
卒業後の負担を軽減
「給付型」とともに公明が提案、訴え

来年4月の新入生から 募集は来月よりスタート

学生が安心して学べる環境づくりを進めるため公明党が導入を強く求めていた、卒業後の所得に応じて返還額が変わる「所得連動返還型奨学金」について、文部科学省の有識者会議は24日、最終案をまとめた。貸与開始は2017年4月の新入学生からで、募集は今年4月から始まる。

月額2000円を最低返還額に設定

所得連動型による奨学金の返還例同奨学金は、日本学生支援機構の無利子奨学金を受ける大学、短大、大学院生などが対象。月額2000円を最低返還額とし、マイナンバーを基に住民税の課税所得の9%を返還額とする。最も利用者の多い貸与額約260万円の私立学生のケースで、年収300万円だと返還月額は現行の1万4400円から8900円に下がる。

また、保証人による返還保証ではなく、在学中に月数千円の保証料を払う機関保証を原則とする。定額制度も継続し、申込時に方式を選択。卒業まで変更可能とした。返還猶予制度も維持する。

有利子奨学金については、所得連動返還型の場合、返還期間が長くなる可能性があるため、無利子奨学金の運用状況を見つつ「将来的に導入を検討」(文科省)する。

これまでの奨学金は、年収300万円以下の人が最長10年間返還を猶予される以外は原則定額で、低所得者ほど負担が重くのしかかっていた。卒業後に返還を3カ月以上、延滞する人は約17万人(14年度)に上る。

なお、所得連動返還型奨学金の詳細は、学生支援機構のホームページに載せるほか、同省が高校の進路指導担当などに周知する。

奨学金の充実を他党に先駆け主張

公明党は、学生や卒業生からの「将来の返還が不安」「毎月の負担が重く生活が苦しい」などとの声を受け、返還の必要がない給付型の導入を他党に先駆けて主張するとともに、無理のない返還が可能な「所得連動」の導入を提案し、政府への提言や国会質問などで繰り返し訴え続けてきた。

浮島智子・党文科部会長(衆院議員)は、「これまで公明党は教育機会の均等を訴え、奨学金制度の充実に力を注いできた。今回、所得連動返還型が導入されるのは、負担が少ない奨学金制度を進める上での第一歩だ。今後も、所得連動の既卒者への適用や無利子枠の拡大、給付型の創設を進めていきたい」と話している。

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