主張「かかりつけ制度」 人材育成と患者への情報発信を

公明新聞:2016年3月22日(火)付

ちょっとした体調の変化でも、気軽に相談できる医師や薬剤師が身近にいたら、心強く思う人は多いのではないか。

政府は4月からの診療報酬の見直しに伴い、「かかりつけ」の医師や薬局を本格的に普及させ、在宅医療の充実を進める方針だ。

高齢化などによって、さまざまな慢性疾患を抱える患者が増えている。こうした中、「かかりつけ」の医療機関には、継続的な診察で患者の病歴や生活環境、性格などを把握し、ニーズに合わせた医療の提供が期待されている。患者をよく知るだけに、生活習慣の改善など健康増進への的確な助言もできるだろう。

「かかりつけ」の機能は、住み慣れた地域で医療や介護サービスを受ける「地域包括ケアシステム」の構築にも不可欠だ。日本の医療の中心を「入院から在宅へ」移していく大きな契機であり、全国に広げていきたい。

ただ、普及に向けて乗り越えるべき課題もある。

まずは、医師の能力向上だ。かかりつけ医には、幅広い症例を診る総合的な能力が求められ、病状に応じて、専門的な医療機関につなぐ橋渡し役も果たさなくてはならない。日本医師会は独自の研修制度を創設するが、政府や自治体、大学、医師会など関係者が連携して質の高い人材の育成に知恵を絞ってほしい。

また近年、大規模な病院に勤務する医師数は増加している半面、「かかりつけ」の機能を担う診療所の医師数はほぼ横ばいなため、人材は不足している。患者が安心して利用できる環境整備が急務だ。

一方、患者にとっても、医療機関を選ぶための情報が十分ではない。日本医師会総合政策研究機構の調べでは、かかりつけの医者がいると答えた人は50%程度にとどまり、「どう見つければいいか分からない」との声も少なくない。各医療機関には、診療方針や治療設備など、患者への積極的な情報発信が欠かせない。

何より、「かかりつけ」の魅力は、患者が気軽に相談できる“距離の近さ”だ。それには、患者に対する医師や薬剤師の「寄り添う」姿勢が肝要である。そこから生まれる互いの信頼関係が医療の質向上の鍵を握るだろう。

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