主張災害と企業 本業の強み生かす社会貢献を

公明新聞:2016年3月19日(土)付

東日本大震災の被災地で行われている企業の復興支援活動は、わが国のCSR(企業の社会的責任)の新しい形になるかもしれない。

CSRとは、企業が利益の追求だけでなく、従業員や消費者、地域社会といった企業活動に関わる全ての利害関係者に対して責任を果たすという考え方。従来は事業利益の一部を寄付するなどして社会に還元する方法が一般的だったが、被災地では自社の本業を生かして社会に貢献する取り組みが目立っている。

味の素グループは「ふれあいの赤いエプロンプロジェクト」と称して、仮設住宅などで料理教室を開催している。レシピの提供や栄養指導など健康面のサポートとともに、地域コミュニティーの再生にもつながっている。

日本IBMは、東北大学が取り組む震災のあらゆる情報をアーカイブ(記録保管)するプロジェクト「みちのく震録伝」に参加。自社の技術を活用して膨大なデータの管理や分析を進めている。宮城県多賀城市では、このアーカイブを基に市内の震災の記録をデータベース化して、地域の防災教育に役立てている。

震災の発生直後は、多くの企業が寄付や従業員のボランティア派遣、被災地の特産品購入などをCSR活動の一環として行ってきた。しかし、こうした活動は本来の事業分野とは異なり、どこまで効果的な取り組みになるかは分からない。また、景気が悪くなれば見直しの対象にもなりかねないため、長期にわたって継続するのは難しい。

その点、本業で培った技術やノウハウを生かす方法であれば、企業にとっても事業改善などのメリットがある。

資生堂は、市の花が商標と同じ「椿」である岩手県大船渡市で復興支援に携わる中で「被災者に心地よい睡眠を提供したい」と思い、リラックスできる新商品の開発に着手。同市にある日本最古とされるヤブツバキから新しい香りを開発し、新商品が誕生した。

CSRを技術革新や新規事業につながる挑戦と考えられないか。企業、地域、住民の全てを元気にする貢献のあり方があるはずだ。

国や自治体も知恵を絞り、企業が取り組みやすい環境整備を進めてほしい。

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