主張サービス業の生産性 経済、賃上げに結びつけたい

公明新聞:2016年3月15日(火)付

政府は今月、飲食や介護、運輸などのサービス業の生産性を高めるための支援策を打ち出した。補助金制度を新設するなどして、作業効率の改善につながる設備投資を促し、2020年までに生産性の伸び率が年平均10%の企業を1万社生み出すとしている。

サービス業は日本の国内総生産(GDP)の約70%、従業員全体の約75%を占め、日本経済をけん引しているといっても過言ではないが、製造業と比べると生産性が低い。

生産性は、従業員1人当たりが一定の期間にどれだけの商品やサービスを生み出せるか、金額で表される。公益財団法人・日本生産性本部によると、製造業の生産性は、一人当たり年間904万円であるのに対し、サービス業は729万円と200万円近くの開きがある。

経済協力開発機構(OECD)は2月末にまとめた報告書で、日本のサービス業の生産性が「際だって低い」と指摘した。サービス業が日本経済全体の“足かせ”になっていると警告している。サービス業の生産性の向上を急がなければならない。

経済産業省は、サービス業の現場でよく見掛ける傾向として、(1)長時間働いているのに売り上げが上がらない(2)賃金を上げられず良い従業員を確保できない(3)せっかく人材を採用しても定着しない―という悪循環に陥っていると指摘。生産性が高まれば、同じ従業員の数と労働時間で、より多くの顧客に質の高いサービスを提供できるようになるため売り上げは増えるし、これにより賃上げも可能となり、良い人材を確保しやすくなると説明する。

ただ、サービス業の9割は中小企業である。生産性をどう高めればよいのか分からない企業も多いだろう。

例えば、神奈川県箱根町にある老舗旅館は、客室への案内をなくし、布団敷きもセルフサービスにする一方で、宿泊代を同地域の他の旅館の半額程度にした結果、利用客が増えたという。従業員1人当たりの生産性が3.5倍の5000円に増え、賃金も2年連続で上昇している。

政府はこうした事例をまとめ、生産性を高めるための参考になる指針をつくることが必要ではないか。

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