主張コミュニティーの再生 人口減少の地域社会支える基盤

公明新聞:2016年3月12日(土)付

11日に大きな節目を刻んだ東日本大震災の教訓の一つとして、住民同士の顔が見える、町内会や自治会単位の地域コミュニティー(共同体)の役割が改めて問われている。

大規模災害時の被害を最小限にとどめるには「共助」が欠かせない。高齢者や障がい者、妊婦など、災害時に手助けが必要な人に、手厚い支援の手を差し伸べるには、地域住民の日ごろのつながりが大きな力を発揮する。

また、災害で九死に一生を得た後も、人々のつながりが健康や精神面の立ち直りに影響するとのデータもある。

米ハーバード大学などが東日本大震災に関して行った調査によると、住民同士のつながりが強い地域の人々は、そうでない地域に比べ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の発症率が4分の3程度に抑えられるという。

地域のつながりは、災害時だけでなく、日常生活においても、個人や家族レベルでは解決が難しい問題をサポートする役割を担う。人口が減少し、地域の中での人間関係の希薄化が進む中、ご近所の力を今一度、見直すべきではないだろうか。

先週には、認知症男性が鉄道事故に巻き込まれて列車を遅延させた問題で、事故の防止が難しい場合は家族の賠償責任を認めない、との最高裁判決が出た。認知症患者は今後も増えていくことが確実視されているが、行政の対応だけでは限界がある。そこで地域住民による見守りがあれば、このような事故を防ぐ力になるのではないか。

地域住民の視線があれば空き巣などの犯罪防止にも役立つ。痛ましい児童虐待事件を防ぐ上でも、コミュニティーの機能は欠かせない。

既に、自治体の中にはコンビニに見守りの協力を求めたり、家庭や町内の異変に気付きやすい新聞、郵便配達員などに協力を要請している動きもある。

世代を超えたつながりを作るため、高齢者や子どもが気軽に参加できるウオーキングイベントを開催する取り組みも東日本大震災の被災自治体で始まっている。

地域コミュニティーの構築は、一朝一夕にはいかない。できることから一つずつ進めていきたい。

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