主張今度こそ核開発の放棄実現を 対北朝鮮制裁決議 

公明新聞:2016年3月5日(土)付

国連安全保障理事会(安保理)は、4度目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイルの発射を強行した北朝鮮に対し、制裁を大幅に強化する新決議を全会一致で採択した。

特に、北朝鮮に出入りする全貨物の検査を、国連加盟国に初めて義務付けた条項が「非常に重要」(サマンサ・パワー米国連大使)であり、今回の決議の大きな目玉といっても過言ではない。

安保理がこれまで採択してきた対北朝鮮制裁決議では、貨物検査について、核やミサイル開発に使われる「禁輸物資」を、北朝鮮の航空機や船舶などが積載している疑いがある場合にのみ、実施するとしてきた。

しかし、これでは不十分であったことは明白である。北朝鮮は、核兵器とミサイルの開発を可能とする物資を調達し続けているからだ。

今回の決議では、北朝鮮向けの全ての貨物を、各国が空港や港湾で検査しなければならない。制裁の実施状況を監視する安保理北朝鮮制裁委員会の専門家組織によると、北朝鮮は貨物の積荷目録の虚偽表示により制裁を回避しているというから、実際の積荷と積荷目録を照合するのは当然である。

しかし、同専門家組織の報告書によると、アフリカ諸国などは貨物検査の具体的な方法が分からず、制裁を履行する意識が低いという。実際、北朝鮮はナミビアなどを軍需物資を輸送する迂回経路に使っていたと指摘されている。

全ての国連加盟国が一致団結して決議を履行しなければ、どんなに強力な制裁も“絵に描いた餅”になる。

例えば、米国が主導し、日本や中国、欧州諸国などの58の主要な港湾が参加する「海上コンテナ安全対策(CSI)」では、X線などを用いたハイテク機器を使い、貨物検査協力を進めているが、アフリカ諸国でCSIに参加する港湾は、南アフリカのダーバン港一つしかない。日本は特にCSIを積極的に実施しており、国際協力の一環として、CSIの非参加国に貨物検査のノウハウを伝えていくことも重要であろう。

今度こそ、北朝鮮に核とミサイル開発を放棄させなければならない。そのための国際連携の強化が不可欠だ。

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