主張若者雇用促進法  企業の積極的な情報開示が重要

公明新聞:2016年3月2日(水)付

若者にとって就職は、人生の大きな節目である。しかし、人材を採用しておきながら使い捨てるように扱う「ブラック企業」によって、劣悪な労働環境に苦しむ人が後を絶たない。若者と企業側のマッチング(適合)など、職場選びが適切にできる環境整備を急がなければならない。

その実現に向け、新たな制度が3月からスタートした。新卒者を募集する企業に学生が要求すれば、離職者数や平均勤続年数、労働時間といった職場情報を提供することが義務付けられた。

これは、公明党が成立を主導した「若者雇用促進法」の施行に伴う取り組みだ。職場の実態を少しでも事前に知ることができれば、就職先を選ぶ際に役立ち、不本意な早期離職の防止にもつながる。

折しも、1日から来春卒業予定の大学生や短大生らを対象にした企業の就職説明会が解禁され、就職活動が本格的に始まった。制度を活用して希望する進路を勝ち取ってもらいたい。

せっかくの制度が着実に運用されるためには、企業側の情報開示に対する積極的な姿勢が欠かせない。

企業に情報提供を求めると選考に悪影響を及ぼすのではないか、と心配する学生は多い。企業は、学生が気兼ねなく尋ねられるよう積極的に呼び掛けてほしい。

また、この制度では企業は学生から求めがなくても幅広い情報提供を行うとの努力義務が定められている。できるだけ多くの情報を学生に発信すべきであろう。

一方、学生は企業に情報提供を要請できる環境を十分に利用していきたい。社内研修制度の内容や役員に占める女性の割合など、就職後のキャリア形成に関する重要な情報も多く含まれている。全国のハローワークに相談窓口が設けられているので、企業側の対応に不安や不満を感じた場合は、相談できる。

この制度には、賃金不払い残業など労働関係法令に違反した企業の新卒求人をハローワークが受理しないことも盛り込まれた。厳格な運用でブラック企業を排除することが大事だ。法律の施行直後であるため、制度を知らない学生もいるだろう。政府は、周知徹底に万全を期す必要がある。

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