主張食品ロス 国民、事業者が一体で削減を

公明新聞:2016年2月25日(木)付

食べられる状態なのに捨てられる「食品ロス」がなかなか減らない。農林水産省によると、日本では年間に1700万トン(魚のアラなど有価物を含めると2801万トン)の食品廃棄物が発生しており、このうち4割近い642万トンが食品ロスだ。発生した食品ロスは生ごみとして焼却処分されるため、環境問題にも影を落とす。

国連食糧農業機関(FAO)の調査では、日本が2013年に輸入した農産物の金額は世界で5位。食料自給率は39%(カロリーベース)と低く、約6割の食料を海外に頼っている。こうした状況下で食品ロスが多く発生しているのは看過できない事態だ。

食品ロスの半分はメーカーや小売店といった事業者の流通・販売の過程で起き、もう半分は家庭での食べ残しや賞味期限前の廃棄などで発生している。削減には、事業者への要請や規制とともに、国民の意識啓発も問われてくる。

これまでも、さまざまな立場から食品ロス対策が行われてきた。長野県松本市は、宴会の食べ残しを減らすため、乾杯後の30分と終了前の10分は自席で食事を楽しむ「30.10運動」を進めている。NPOの活動としては、賞味期限が迫った食品を引き取り、生活困窮者へ無償提供する「フードバンク」が有名だ。

事業者間では、常に賞味期限に余裕のある商品を店頭に並べるため、短い期間で商品を廃棄してしまう商慣習の改善が少しずつ進んでいる。しかし、食品ロスの大幅な削減にはつながっていない。

食品ロスは先進国に共通する課題であり、法制化によって解決をめざす国も出てきた。年間に約700万トン発生するフランスでは、大型スーパーに売れ残り食品の廃棄を禁止する法律が2月3日に成立した。捨てる必要のない食品は、生活困窮者への配給活動を行う慈善団体に寄付することを義務付けており、違反すると3750ユーロ(約48万円)の罰金が科されるという。

国連は、30年までに世界全体の一人当たり食品廃棄物を半減させる目標を採択している。まずは農水省、消費者庁など関係6府省庁で展開する「食品ロス削減国民運動」を強め、“輸入大国”日本から取り組みをリードしたい。

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