主張福島の産業都市構想 研究拠点を核に街づくり急げ

公明新聞:2016年2月24日(水)付

被災者にとって希望となる“青写真”を描かなければならない。

東京電力福島第1原発事故により産業の基盤が失われ、多くの住民が避難を余儀なくされている福島県の浜通り地方。その地域再生の足掛かりとなる「イノベーション・コースト(国際研究産業都市)構想」の実現に向け、政府の検討会で、必要な環境整備のあり方を探る議論がスタートした。

公明党が実現を推進しているこの「構想」は、浜通り地方に廃炉技術の研究やロボット開発などの拠点をつくり、新たな産業を創出するのが狙いだ。構想の一環として、楢葉町に建設された廃炉ロボットの試験施設「モックアップ施設」は4月から本格運用される予定である。政府の2016年度予算案には、産学官の共同研究室の整備も含め約143億円が計上され、今後、さらに具体化が進められる。

これらの拠点が整えば、国内外から多くの研究者や関連企業が集まると予想され、地元では「復興のエンジンになる」と期待が膨らむ。

だが、研究拠点を構築する肝心の地域のインフラ設備は、原発事故による大打撃を受けて、いまだに回復していない。これでは拠点をつくっても効果が限られてしまう。検討会は、さまざまな課題を洗い出し、実効性の高い支援策を打ち出してもらいたい。

例えば、ロボットの実証試験に訪れた研究者を受け入れる宿泊・商業施設が必要になるが、そうした整備は手つかずのままである。一部の被災者からは早くも、「人が集まるところに店を開きたい」との声も上がっている。こうした地元のニーズを敏感にくみ取り、事業支援をきめ細かく行うことが求められよう。研究拠点の整備と同時並行で街づくりを進めることが重要である点を強調しておきたい。

また、国内外の研究者や企業の誘致を成功させるには、原発事故による風評被害の対応が欠かせない。除染作業を着実に進めながら、正確な情報を発信し、不安を取り除かなければならない。

構想を実現するためには時間はかかるだろうが、国は、刻々と変化する地域の事情に目配りしながら、全面的にバックアップし続けるべきだ。

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