脳脊髄液減少症 “無理解の壁”を乗り越て

公明新聞:2016年2月21日(日)付

対談する国重衆院議員と鈴木さん対談する国重衆院議員(左)と鈴木さん

ブラッドパッチに保険適用

“無理解の壁”を乗り越え、患者や家族らの長年の悲願がついに実現――。交通事故など体に受けた強い衝撃で脳脊髄液が漏れ出す脳脊髄液減少症。この治療に有効な「ブラッドパッチ療法」(硬膜外自家血注入療法)が、今年4月から保険適用される予定です。同症患者支援の会・子ども支援チームの鈴木裕子代表と、公明党同症対策プロジェクトチーム(PT)事務局長の国重徹衆院議員に語り合ってもらいました。

ともに闘い続けてくれた公明党 鈴木さん

ネットワーク生かし全力で働く 国重氏

国重 鈴木さんが活動に取り組み始めたのは、娘さんの発症がきっかけですね。

鈴木 そうです。中学校に入学したばかりの娘が突然、頭痛や吐き気といった症状に襲われました。髄液漏れによる頭痛の仕組みと治療法幾つもの病院へ行きましたが、ことごとく「異常なし」の診断。原因不明の状態が5年も続きました。

当時、脳脊髄液減少症の存在すら知らない医師もおり、病気として理解されていない状態でした。ある医師からは「学校に行きたくないだけで、要するに不登校ではないのか」「親の育て方が悪い」などと言われ、深い悲しみとともに憤りを感じました。

国重 胸が締め付けられる思いです。病気の原因は何だったのでしょうか。

鈴木 娘は吹奏楽部で金管楽器を演奏していました。後で知ったことですが、楽器を強く吹くことで脊髄を囲む膜に穴が開き、髄液が漏れ出すことがあるようです。娘の場合、これ以外の原因が見当たりません。同症は、交通事故やスポーツ外傷が主な原因とされていますが、転倒や出産でも発症します。日常生活の中で、誰にでも起こり得る病気なのです。

国重 学習支援などはあったのでしょうか。

鈴木 娘は頭痛や吐き気がひどく、中学校に3分の1程度しか通えませんでしたが、補習授業などはありません。「同じように苦しんでいる人がいるはず。力になりたい」との思いで、患者団体の一員として2003年から活動を始めました。

議員が交代しても引き継ぐチーム力

国重 公明党も皆さんの思いに呼応し、活動を始めました。当時、千葉県の公明党県議が患者団体から相談を受けていました。03年12月の県議会では、公明党が主導し、治療推進を求める意見書を全国に先駆けて採択。こうした動きは、全都道府県に広がりました。06年4月には党内に対策チームを立ち上げ、党を挙げて取り組む体制を整えました。

鈴木 公明党議員は、私たちが開く啓発セミナーに協力を惜しまず、次に開催したい地域の議員にもきちんとつないでくれるなど、いつも期待以上の取り組みを展開してくれました。議員が交代しても後任者が引き継いでくれ、公明党のチーム力の素晴らしさを実感しました。だから、私も頑張れました。

国重 公明党は質問主意書や署名活動などを通して、治療法の研究や保険適用を求めてきましたが、厚生労働省は当初、「今後の学術的な研究の成果を踏まえ考えていきたい」と、“無理解の壁”は厚く、思うように対策が進みませんでした。

鈴木 06年11月には、子ども支援チームが発起人となり、文部科学相宛ての要望書を署名簿とともに提出。当時の池坊保子文科副大臣(公明党)から「適切な対応について、全国の幼稚園から大学まで周知徹底したい」と表明してもらいました。

教員や医師らへさらなる啓発を

国重 この半年後の07年5月、文科省より全国の教育機関に対して適切な対応を求める事務連絡が通達されました。

鈴木 その結果、同症への理解が広がり、原因不明で苦しんでいた子どもの受診が増え、適切な治療へと導くことができるようになったのです。本当に大きな喜びでした! 併せて、同じ年に厚労省の研究班も立ち上がり、ブラッドパッチ療法の有効性が実証される契機となりました。

正直、これまで政党への関心はありませんでしたが、公明党の議員に会って認識が変わりました。十数年にわたり、一貫して私たちの心に寄り添い続けてくれたからです。本当に一人の声を大事にする政党です。

国重 ありがとうございます。多くの人たちのために長年活動されている皆さんの姿こそ素晴らしいです。娘さんもブラッドパッチ療法を受けられたと伺いました。

鈴木 はい! 娘は現在、結婚して大阪で暮らしています。依然として頭痛や倦怠感はありますが、大きく改善しました。その娘も「この病気になったからこそ、優しい心を持った公明党の議員に出会えた」と話しています。

国重 最後に、今後の課題について、お聞かせください。

鈴木 同症の患者全てが救われるため、国から正しい情報発信の徹底を望みます。また、同症を発症した若者の就職支援や、学校現場と医療機関への普及啓発にも積極的に取り組んでほしいと思います。

国重 公明党はこれからも、ネットワークの力で団結し、全力で働いてまいります。

ブラッドパッチ療法

髄液が漏れている脳と脊髄を覆っている硬膜の外側に患者自身の血液を注入して漏れを止める治療法。脳脊髄液減少症のうち一定の診断基準を満たす脳脊髄液漏出症について、厚労相の諮問機関が1月20日、保険適用を承認し、今月10日、同相に答申した。4月から適用予定。なお、ブラッドパッチ療法を実施している医療機関は、厚労省ホームページで公開されている。

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