コラム「北斗七星」

公明新聞:2016年2月20日(土)付

「将来その国や地域を担う難民の子どもたちを留学生として日本に受け入れてはどうか」。1月28日の参院本会議、公明党の山口那津男代表は、中東の難民流出問題を取り上げ教育支援の重要性を訴えた◆的を射た提案である。昨秋、中東を現地調査した谷合正明参院議員によれば、例えば、パレスチナと対立するイスラエルは、パレスチナ難民への教育支援や日本への留学を歓迎しているという。教育の向上は、難民がテロに勧誘されるのを防ぐことに寄与すると考えているらしい◆先月、国連事務総長は、テロの原因となる暴力的過激主義を防止する行動計画をまとめた。同計画は過激主義が広がる背景として、若者が周縁に追いやられることや差別、経済的格差、紛争の長期化などを挙げる◆難民や移民系の若者が抱く疎外感や屈辱は、テロに直ぐにつながるものではないにしても、「対立をもくろむ指揮官によって培養され、拡大され、テロの志願兵を集めやすくしている」(アマルティア・セン『アイデンティティと暴力』)のは確かなようだ◆行動計画は、若者の自立支援など包括的なアプローチを各国に促しているが、特に、過激化する多くの者は教育をほとんど受けていない、と指摘して教育の役割を重視する。日本がこの分野で貢献できることは決して少なくない。(中)

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