地方創生へ 本社機能移転

公明新聞:2016年2月10日(水)付

YKKが整備する複合型集合住宅の建設現場を視察する石田政調会長ら=8日 富山・黒部市YKKが整備する複合型集合住宅の建設現場を視察する石田政調会長(左から2人目)ら=8日 富山・黒部市

東京の6社が計画 公明、積極的に推進
YKKの取り組み聞く
富山・黒部市で石田政調会長ら

地域と共に“まちづくり”

地方創生に向けて、本社機能の地方移転など企業の地方拠点強化を促す税制優遇制度が2015年度から始まり、その活用をめざす動きが広がっている。

政府や地方自治体の発表によると、大手企業など少なくとも6社が東京23区にある本社機能を茨城、富山、鳥取、岡山、広島の5県に移すことを計画し、29社が既に地方にある本社機能を拡充しようとしている。例えば、ファスナー・建材メーカーのYKKグループが富山県へ、飲料水などを製造するサントリープロダクツ株式会社が鳥取県へと、東京23区から本社機能の一部を移す計画だ。

企業の地方移転促進税制のイメージ本社機能の地方移転の促進は、公明党が14年衆院選の重点政策に掲げるなどして積極的に推進。これを受けて、本社機能(研究・研修施設も含む)の地方移転や既に地方にある本社機能の拡充を行った企業に対して、法人税を軽減するなどの税制優遇制度が創設された【図参照】。特に、東京23区内から本社機能を移した場合は軽減幅が大きくなる。

政府は15年末に改訂した地方創生の「総合戦略」で、企業の地方拠点強化の件数を20年までに7500件増やす目標を掲げた。しかし、経団連が15年6月、東京に本社を置く企業を対象に実施した調査では、回答のあった147社のうち本社機能の移転を「検討中」「可能性がある」との答えは11社にとどまった。目標達成には、さらなる支援策の検討が求められる。

公明党の石田祝稔政務調査会長は8日、富山県黒部市を訪れ、本社機能の一部を同市に移転するYKKグループの取り組みについて、YKK株式会社の井上孝副社長から説明を受け、関連施設を視察した。浜田昌良参院議員、岡本三成衆院議員らが同行した。

同グループは、ファスナー大手の「YKK」と建材大手の「YKKAP」などで構成。両社はこれまで、創業者ゆかりの黒部地域を“技術の総本山”と位置付け、生産設備を集積させてきた。2015年3月に北陸新幹線・黒部宇奈月温泉駅が開業したのを機に、人事、経理など管理部門も移転させている。グループの中核拠点機能の強化や災害リスクの分散などが目的で、今年3月には合計約230人の異動が完了する。

席上、井上副社長は、本社機能の一部移転に合わせて、産業観光関連の展示施設の充実や企業内保育所を併設する複合型集合住宅の整備などを進めていることを挙げ、「グループの企業戦略と(定住・交流人口の拡大などをめざす)黒部市の重点施策が一致している」と指摘。にぎわいあるまちづくりへ、引き続き行政と連携する考えを強調した。

終了後、石田政調会長は「企業の地方拠点強化へのさらなる支援を検討する際の参考にしたい」と語った。

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