中小の収益アップ促せ

公明新聞:2016年2月4日(木)付

質問する石田氏=3日 衆院予算委質問する石田氏=3日 衆院予算委

下請取引の改善必要
悪質業者排除など バス事故の再発防止訴え
衆院予算委で石田、赤羽氏

衆院予算委員会は3日、安倍晋三首相ら全閣僚が出席する2016年度予算案の基本的質疑を行い、公明党から石田祝稔政務調査会長と赤羽一嘉政調会長代理が、経済の好循環に向けた取り組みや長野県軽井沢町のスキーバス転落事故への対応と再発防止策、消費税の軽減税率などについて質問した。

質問と答弁要旨

石田氏は、日本経済について、自公連立政権下でデフレ脱却目前まで回復が進んでいるとしつつも、「大企業と中小企業の格差が開きつつある」との認識を表明。大企業の従業員1人当たりの経常利益が中小企業を大きく上回っている現状を挙げ「大企業の収益を設備投資や賃金(上昇)、中小企業へと循環させていくことが必要だ」と訴えた。

さらに、大企業の下請け先となっている中小企業の多くが、「仕事はあるが利益は薄い」という状況にあると指摘。取引条件の改善などを促し、中小企業や小規模事業者の収益アップを促すよう求めた。

これに対し安倍首相は、共通の問題意識を持っていることを表明し、産業界への大規模調査などを通じて「中小企業の取引条件の改善に向けた機運を高めていく」と力説した。

また石田氏は、環太平洋連携協定(TPP)をめぐり、一部で「食の安全が脅かされる」「医薬品価格が高騰する」との懸念があると指摘。塩崎恭久厚生労働相は「協定は食の安全に関わる基準の変更は求めていない。医薬品のわが国の制度とも整合性がとれている」と述べ、いずれの懸念も当たらないと強調した。

石田氏は、公明党が一環して主張している大学生などを対象にした返済不要の給付型奨学金制度について「望む声が非常に多い」として、早期の創設を迫った。

安倍首相は「給付型の意義も認識している。検討を進める」と答えた。

赤羽氏一方、赤羽氏は、バス事故を受けて国土交通省が行った抜き打ち監査で、貸し切りバス96台中45台に運行指示書の記載不備などの違反があったとして「極めて深刻だ」と指摘。悪質業者の排除や予防安全装置の設置義務化、運転者の研修や健康管理などを党として提言したことにも触れ、再発防止策の徹底を訴えた。

石井啓一国交相(公明党)は、乗客のシートベルト着用の徹底などを「本日(3日)中に事業者に通知する」と答弁。併せて「提言の内容を含めて有識者検討委員会で議論し、実施可能な施策は直ちに行うとともに、年末までに総合的な対策を取りまとめる」と述べた。

軽減税率に関して赤羽氏は、消費税率引き上げなどを決めた社会保障と税の一体改革関連法が民主、自民、公明の3党合意に基づいて制定された経緯に言及。同法で示された低所得者対策の選択肢から、与党が選んだ軽減税率に対し、民主党が「愚策」などと批判していることについて「3党合意の精神を踏みにじる暴論だ」と糾弾した。

共産党チラシ “学費値上げ”は事実無根

首相「全くのデマ、訂正を」

仮定の試算で大学生を惑わす

共産党のチラシを手に「全くのデマ」と強調する安倍首相石田政調会長は、共産党が署名活動に用いている、安倍政権が国立大学の学費を16年後に現在の年間53万円から93万円まで値上げすると書かれたチラシについて取り上げた。

チラシが学費値上げの根拠としている、昨年10月に財務省の財政制度等審議会が示した国立大学への運営費交付金の削減案に言及。公明党などが即座に反対した結果、運営費交付金は来年度予算案で前年度と同額の1兆945億円が維持されたことから、「チラシは青年を惑わすものだ。事実と全く違うことを書いてばらまくのは公党として恥ずかしい」と批判した。

馳浩文部科学相はまず、昨年12月1日の衆院文科委員会で共産党議員が、仮に交付金減に伴い増やさなければならない国立大学の自己収入を全て授業料で賄うとしたら15年間でいくら値上がるかと試算を求めたため、機械的に試算を出したと説明。しかし、自己収入は主に寄付金や授業料、産学連携の研究資金の三つで賄われており、授業料だけで賄うことは困難と答弁したとし、「一方的な仮定や試算でビラを作成することは公党としていかがなものか」と述べた。

安倍首相は、「全くのデマ」と強調。安倍政権の下で国立大学の学費は値上げされておらず、来年度も値上げはしないと決めているとし、「公党としては直ちに責任を持って訂正してほしい」と指摘した。その上で「国立大学の授業料を毎年値上げして(16年後に)40万円も値上げすることはおよそ考えられない」と語った。

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