衆院予算委での公明党の質疑(要旨)

公明新聞:2016年2月4日(木)付

質問する石田氏=3日 衆院第1委員室質問する石田氏=3日 衆院第1委員室

3日の衆院予算委員会で公明党の石田祝稔政務調査会長、赤羽一嘉政調会長代理が行った質疑(要旨)は次の通り。

経済の好循環

石田祝稔 政調会長

賃上げ、働き方改革必要

農水産物の輸出体制充実を

石田祝稔氏 首相が打ち出している「成長と分配の好循環」の説明を。

安倍晋三首相 分配だけを繰り返しても、社会保障制度を維持するための富を生み出せない。経済成長の果実を社会保障費に振り分け、さらなる成長のためにも使っていくことで、安定した社会基盤の上にさらに成長できる。これは、成長か分配かという今までの議論に終止符を打つ新たな経済社会の構築だ。

1人当たり経常利益の推移石田 好循環の実現へ、賃金上昇、最低賃金の引き上げ、生産性向上、イノベーション(技術革新)、働き方・休み方改革も必要だ。その上で成長力を強化し、その果実を分配して、また潜在需要を顕在化させていくために、首相がリーダーシップを発揮してほしい。

アベノミクスの3年間で、税収や就業者数、名目GDP(国内総生産)が増え、デフレ脱却まであと一歩だが、大企業と中小企業の格差が開きつつある。従業員1人当たりの経常利益の推移を見ると、中小企業は製造業と非製造業の両方とも、この約3年間で18万円から22万円に増えた。これに対し、大企業の製造業は80万円から160万円に増えた。ここまで差がつくと、大企業の収益を設備投資や賃金、中小企業へ循環させていくというメカニズムへの改善が必要になるのではないか。

首相 極めて重要な指摘だ。過去最高を記録した企業収益を、設備、技術、人材といった未来への投資と賃上げ、中小企業の状況改善につなげることが大切だ。それによって経済の好循環を確実なものにできる。

石田 下請けの中小企業は「仕事はあるが、利益は薄い」という状況にある。下請けなどの取引条件改善に向けた政府の調査に期待している。

首相 現在実施中で、年度末までに結果を取りまとめる。これによって、中小企業の取引条件の改善に向けた機運を高めていく。調査結果を踏まえ、下請け取引適正化に向けたガイドラインの改定や、その対象業種の拡大を検討する。

石田 環太平洋経済連携協定(TPP)をめぐり、「食の安全が脅かされる」「医薬品が高騰する」との心配の声があるが。

塩崎恭久厚生労働相 協定は食の安全に関わる基準の変更は求めておらず、これまで通りだ。医薬品のわが国の制度とも整合性がとれており、薬価が高騰するとの懸念は当たらない。

石田 牛肉の輸出に関して、神戸ビーフは、地元に諸外国の衛生基準を満たす食肉処理施設がなく、鹿児島まで運んで処理しないと輸出できない。農水産物の輸出体制をどう充実させるのか。

森山裕農林水産相 国の交付金を利用して、兵庫県姫路市で食肉処理施設の整備が始まり、2016年度から供用を開始できる。輸出を指向する生産者の取り組みを促進するため、施設整備などを積極的に支援したい。

“学費値上げ”(共産党チラシ)デマ問題

公党として恥ずかしい

首相 来年度も「上げない」と決定

石田 現在53万円の国立大学の年間の学費を安倍政権が16年後に93万円まで値上げするとのチラシを共産党が配っている。

昨年10月に財務省の財政制度等審議会(財政審)が、国立大学法人の運営費交付金を1.1%減らし、大学自らで1.6%稼げという案を出した。しかし、公明党などがこれはダメだと、国立大学の運営費交付金の充実確保を求めた。その結果、運営費交付金は今年度と同じ1兆945億円が確保された。これを無視してこういうチラシが出回っているのはけしからんと思う。青年を惑わすものだ。

馳浩文科相 このチラシの元となった昨年12月1日の衆院文科委員会のやり取りを説明する。共産党の畑野君枝委員からの質問だ。財政審の主張について、仮に自己収入増を全て授業料で賄うとしたら15年間でいくらの値上げになるかという試算を出せと言われたので、機械的に試算すれば2031年時点で授業料は約93万円で、来年度から均等に引き上げると年間約2万5000円の値上げが必要とした。

しかし、文科省は、国立大学の自己収入は寄付金や授業料、産学連携の研究資金の三つで大方賄われているが、それを授業料だけで賄うことは大幅な引き上げにつながりかねないし、現下の経済状況や厳しい家計の状況では困難と考えていると併せて答弁をした。一方的な仮定や試算においてこういったビラを作成することは公党としていかがなものか。

石田 “たられば”をあたかも事実のように書いて若い人たちに配って運動論につなげようというのはいかがなものか。全く違うことを書いてばらまいていることは公党として恥ずかしい。

首相 これは誰が見ても安倍政権が学費値上げを決めたみたいだ。こんなことは決まっていない。決まっていないことを運動するのは全くデマで、デマゴーグであろう。安倍政権は学費を3年間値上げしていない。来年度も値上げしないと決めている。にもかかわらず、まるで来年度から上げていくかのごとき印象操作をして惑わせるチラシだから、公党としては直ちに責任を持って訂正してほしい。

実際に国立大学の授業料を今後、毎年値上げして(16年後に)40万円も値上げすることは、およそ考えられないことは、はっきりと言っておきたい。今後も家庭の経済事情によって勉学を諦めなければならない国ではいけないとの考え方で、学生を支援したい。

奨学金

給付型の創設早期に

学生の経済的負担減らせ

石田 給付型奨学金を望む声が非常に多い。財源や対象者をどう絞るのかはあるが、ぜひ決断してほしい。

首相 学生の教育費負担は来年度予算で大学等の無利子奨学金を1万4000人増員をして授業料減免を5000人増員するとともに、卒業後の所得に応じて返還額が変わる所得連動返還型奨学金制度の導入に向けて準備を進めている。学生の経済的負担を軽減し、希望すれば誰もが大学などに進学できる環境を整えたい。

石田 奨学金を借りたら大学卒業時に借金を背負う。給付型の奨学金の結論をいつまでに出すのか。

首相 奨学金制度がいかに大切かは十分に認識しているし、給付型の意義も認識している。検討を進めたい。

石田 平和安全法制に対して“戦争法”“立憲主義に反する”という批判がある。

首相 もし戦争法であるならば世界中から反対の声が寄せられるが、ほとんどの国々から高い評価と支持を得ている。

平和安全法制は手続きと内容のいずれにおいても現行憲法のもと適切に制定された。立憲主義に反するものでないことは明らかだ。

バス事故

赤羽一嘉 政調会長代理

法令違反の対処厳しく

運転者の研修・健康管理も

赤羽一嘉氏 1月15日に長野県軽井沢町で発生したスキーバス転落事故では、乗員を含む15人が死亡、26人が重軽傷を負い、多くの青年が犠牲になった。

事故後、国土交通省が抜き打ちで行った街頭監査では、貸し切りバス96台のうち45台で(運行指示書の記載不備などの)法令違反が指摘された。多くの事業者がいかに安全運行の取り組みを軽視しているかという表れであり、業界の構造的な問題は極めて深刻だ。

まずは、法令違反を犯した事業者には重大な処分を科し、(その事実を)公開して事業をできなくさせるべきだ。そして車両点検の徹底は当然のこと、速度制御装置やドライブレコーダー、衝突被害軽減ブレーキなどの設置も義務付けなければならない。

また、現行制度では、過去3年以内に別の貸し切りバス事業者で勤務していた運転者であれば、業務経験の内容を問わず初任者研修なしで大型バスに乗務できてしまう。運転者の高齢化に伴い、健康管理も大事な課題だ。違法な下限割れ運賃を求める旅行業者の存在もネックになっている。

こうしたことを先日、公明党として石井啓一国交相(公明党)に申し入れたが、今回のような悲惨な事故は絶対に起こしてはならない。国交相の決意を伺う。

国交相 事故の原因究明を進めるとともに、抜本的な安全対策を検討し、実施していく。チェックシートを活用した運行前の法令順守確認の徹底や運転者への安全運転教育の徹底、乗客のシートベルト着用徹底については、本日(3日)中に事業者に通知し、すぐ実行に移すこととしている。

事故防止策については、委員が提言した内容を含めて有識者検討委員会で徹底的に議論したい。今年度末をめどに中間整理を行い、実施可能な施策は直ちに実施し、年末までには総合的な対策を取りまとめたい。

軽減税率の導入

3党合意に沿った決定

民主の批判は筋違いの暴論

赤羽 民主、自民、公明による12年6月の3党合意に基づいて成立した社会保障と税の一体改革関連法には、消費税率を10%に引き上げる際の低所得者対策として、(1)総合合算制度(2)給付つき税額控除(3)複数(軽減)税率―のいずれかを導入すると明記された。これにのっとって今回、自民、公明の与党が軽減税率の導入を決定した。

これに対し民主党は、補正予算案に対する衆院本会議の反対討論で、「軽減税率は世紀の愚策」などと発言した。3党合意の精神を踏みにじる暴論だ。

食料品などを税率8%とすることについて、軽減でなく据え置きだという批判もあるが、税率を10%にする中で全品目を10%にしていいのかという議論の結果として、軽減税率が採用された。間違いなく、据え置きではなく軽減だ。

首相 「食料品くらいは軽減税率をやってもらいたい」という声は事実、多くある。国民的な納得を得るため、そして消費への影響を緩和する上においては、軽減税率の導入が正しい道であろうと判断した。

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