主張被災地の人口減 大胆な制度設計で定住支援を

公明新聞:2016年1月25日(月)付

かねて指摘されてきた厳しい現実が改めて浮き彫りになった格好だ。抜本的な対策を、急ぎ確立する必要がある。

東日本大震災後初となる岩手、宮城、福島3県の2015年国勢調査(10月1日現在)の速報値が出そろった。

それによると、福島の人口が戦後最少の191万3606人に落ち込むなど、3県ともに2010年の前回調査から減少。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故が、3県の人口動態に暗い影を落としている実態を鮮明にした。

とりわけ深刻なのが、津波で壊滅的な被害を受けた沿岸部と、原発事故で今も多くの人が避難している福島県浜通り地域の市町村だ。

岩手では、県内最大の23%減となった大槌町をはじめ、沿岸全12市町村が人口減少。宮城でも、女川町37%、南三陸町29%など1割超の大幅減が沿岸部に集中する。

一方、福島では、全域避難区域となっている双葉、大熊など4町が「人口ゼロ」を記録。避難指示が解除された地域でも、楢葉町87%減、川内村28%減など、住民帰還が進んでいないことを裏付けた。

見落としてはならないのは、被災地の過疎化に拍車がかかる中、歪な人口分布が潜行している点だろう。被災地からの流出人口が都市部に集中し、3県ともに市部が占める人口比率が82%を超えた。

同一県内における人口格差の広がりは、被災地復興の足かせとなる。

主力産業の水産業を中心に人手不足が一層深刻化し、地域経済が停滞する。そうなれば、復興の担い手である若年層を中心に都市部への移動がさらに進む。かくして格差は拡大の一途をたどり、高齢者ら残された人々の復興への思いも消沈していく。そんな悪循環が沿岸市町村を覆いかねないからだ。

震災からまもなく5年。政府は今年春からの5年を「復興・創生期間」と位置づけ、被災地で地方創生のモデル事業を展開する構えだ。

その際、鍵を握るのは、一にも二にも「地元人」であることを肝に銘じる必要がある。企業誘致など既存の人口減少対策の枠を超えた大胆な制度設計の下、被災市町村ともども、定住人口の確保に果敢に挑んでもらいたい。

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