若者雇用、財政ただす

公明新聞:2016年1月19日(火)付

参院予算委総括質疑

参院予算委員会は18日、安倍晋三首相ら全閣僚が出席して2015年度補正予算案の総括質疑を行い、公明党から石川博崇、竹谷とし子の両参院政策審議副会長が質問に立った。

ブラック企業の求人排除

携帯料金引き下げ 「端末が高額」の懸念解消も

質問する石川氏=18日 参院予算委石川 博崇氏

石川氏は、公明党の推進で成立した「若者雇用促進法」が今年3月に本格施行されることに関し、“ブラック企業”対策への政府の姿勢をただした。

安倍首相は、公明党の尽力で開設された平日夜間や土日に無料で相談が受けられる「労働条件相談ほっとライン」などに触れ、「人材を育てようという認識が全くない企業は退場してもらう社会にしたい」と述べた。

また石川氏は、同法が労働関係の法令違反を繰り返す企業の新卒求人申し込みをハローワークが受理しないことを可能にしたとし、今後は民間の職業紹介事業者もブラック企業の求人を排除できるようにすべきと強調。塩崎恭久厚生労働相は「事業者に促していく」と答えた。石川氏は、新卒の求人を出す事業者は、応募者などからの求めにかかわらず、積極的に職場情報を提供すべきとも訴えた。

一方、総務省が携帯電話端末の過度な購入補助を適正化するよう大手3社に求めたことについて「端末料金が高額になってしまうとの懸念がある」と指摘。高市早苗総務相は「手頃な価格帯の端末の選択肢が確保されるよう取り組む」と答弁。さらに「ライトユーザーや長期利用者の負担感を軽減することで、スマートフォンの普及が進むと期待している」と語った。

さらに、石川氏が、昨年10月に行われた山口那津男代表の訪中、訪韓などを挙げ、公明党が果たした外交の役割について政府の認識をただしたのに対し、安倍首相は「両国首脳に親書を渡してもらうなど、大変重要な役割を果たしてもらった」と述べた。石川氏は、自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を回避するための「海空連絡メカニズム」の早期運用や、2019年に日本で開催されるラグビー・ワールドカップ(W杯)への支援拡充も求めた。

「見える化」でムダなくせ

食品ロス削減へ啓発強化を

質問する竹谷さん=18日 参院予算委竹谷とし子さん

竹谷さんは、2017年4月からの消費税の軽減税率について「痛税感の緩和につながる。だからこそ、世界の多くの国が食料品の税率を軽減している」と意義を強調(関連記事2面)。事業者への支援策などのきめ細かな周知も訴えた。

その上で、消費税率引き上げに関して「国民に負担をお願いする以上、税金の使い道を『見える化』し、行政もムダをなくす努力が求められる」と指摘。政府が民間企業と同様の複式簿記・発生主義会計で毎年作成する財務書類について、「作って終わりではなく、予算編成や政策評価に生かすべき」と述べ、事業のコスト把握などへの活用をさらに進めるよう求めた。麻生太郎財務相は、さらなる活用に意欲を示した。

また竹谷さんは、多くの食品が食べられるのに廃棄されている食品ロス問題について、廃棄に伴う小売店の利益率低下や自治体の処理費用負担などを挙げて「何もいいことはない」と指摘し、廃棄削減に向けた意識啓発などの取り組みの強化を提案。安倍首相は「国民各層にさまざまな機会で働き掛ける」と応じた。

東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国と日中韓3カ国で災害など緊急時に備蓄米を融通し合う協定について、竹谷さんは食料安全保障などの観点から重要性を強調し、「着実に進め、何らかの形で世界全体に広げれば世界平和に貢献できる」と訴えた。安倍首相は「この枠組みが世界で活用されるよう積極的に対応したい」と答えた。

一方、日本政策金融公庫による融資の返済が困難になった際の延滞利率(年14.5%)について、国税・地方税などの延滞利率が引き下げられている経緯を踏まえ、「超低金利時代が続く中、早期に引き下げるべき」と主張。麻生財務相は、早期引き下げをめざす姿勢を示した。

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