主張イランの制裁解除 中東の安定につなげる契機に

公明新聞:2016年1月19日(火)付

イランの核開発問題をめぐり、欧米がイランに科していた海外資産の凍結や原油の禁輸といった経済制裁が16日に解除された。

欧米など6カ国とイランは昨年7月、イランが核開発を大幅に制限する代わりに制裁を段階的に解除する「包括的共同行動計画」に合意した。今回の措置は、国際原子力機関(IAEA)によって、核開発の制限が確認されたことを受けてのものだ。

制裁解除によって、孤立してきたイランが国際社会に復帰することとなる。核疑惑の発覚から14年目を迎え、核不拡散へ国際社会が積み重ねてきた外交努力が実ったことを歓迎したい。

ただし、イランへの懸念が拭えたと結論づけるのは早計かもしれない。イランは今後、合意の履行によって、ウランの濃縮活動などが10年以上制限されるものの、将来の核開発につながる技術は温存されたままである。

核不拡散という“時計の針”が後戻りせぬよう、イランには疑念を生じさせない姿勢が求められる。国際社会もIAEAの監視活動を支援し、徹底した検証を続けなければならない。

制裁の解除に伴って、イランは外国との貿易が再開し、経済が大きく成長すると見込まれている。人口約7800万人を擁するイランは有望な消費市場であり、各国企業の進出競争は激化するだろう。

ビジネスチャンスの獲得へ、日本も含め欧米各国が経済関係を強化する姿勢を見せているが、これによって核開発への監視の動きを鈍らせてはならない。

一方、イスラム教シーア派の大国イランの存在感が増すことに、イランと国交を断絶したサウジアラビアなどスンニ派諸国は強い警戒感を示している。敵対関係にあるイスラエルも制裁解除を批判している。中東情勢の緊張が一段と高まらないよう、各国に自制を促す取り組みが欠かせない。

日本は、長年にわたってイランとの友好関係を維持しており、独自のパイプがある。制裁解除を契機に、中東地域の平和と安定に向け、イランが国際社会で信頼を醸成できるよう積極的に後押ししていくべきだ。

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