主張公職選挙法の改正

公明新聞:2016年1月15日(金)付

投票できない若者生まぬ制度に

18歳選挙権が実現する今夏の参院選を前に、若者が選挙の直前に引っ越しをすると投票できなくなる“投票権の空白”を解消する公職選挙法改正案の早期成立が期待されている。

現在の投票の仕組みでは、市区町村がつくる選挙人名簿に若者が登録されるには、選挙権年齢に達した上で、投票する自治体に3カ月以上住民登録していることが必要になる。既に成人して旧住所地の名簿に登録されていれば、転居後3カ月以内に選挙が行われても、旧住所地で投票できるが、新しく有権者になる人は、旧住所地の名簿に登録されていないため、新旧どちらの自治体でも投票できなくなってしまう。

まして高校卒業の時期と重なる18歳の若者は、進学や就職で親元から転居することが多い。選挙権年齢を18歳以上に引き下げる法改正は6月19日の施行であり、仮に6月下旬に参院選が公示されれば、3月下旬以降に引っ越した若者は選挙に参加できない事態になりかねない。

このため、公明党は自民党などとともに昨年5月、新しい有権者の場合は、転居前の住所に3カ月以上住んでいれば旧住所地で投票できるよう、選挙人名簿の登録制度を見直す公職選挙法改正案を提出している。選挙人名簿システムの改修には、相応の費用と時間がかかることから、法改正が遅れれば自治体の混乱を招くことが懸念される。速やかな法改正が必要だ。

同時に、投票しやすい選挙制度への改善も重要だ。

公明党の山口那津男代表は12日、公選法の改正に関して「有権者の生活実態や地域の実情に合わせることも必要だ」と語っている。

有権者からは、投票所に子どもを同伴できるよう制度の改善を求める声がある。また、投票日の投票は、あらかじめ指定された投票所1カ所で行うことになっているが、休日は朝から出掛ける人も多く、大型の商業施設や主要駅などに共通の投票所を設置するよう求める人も少なくない。

選挙への参加は、国民の大切な権利であり、投票環境の改善は民主主義の基盤を強める。18歳選挙権への拡大を機に適切な投票の仕組みを実現したい。

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