軽減税率 識者に聞く

公明新聞:2015年12月28日(月)付

「金持ち優遇」は的外れ
慶應義塾大学法学部 片山 善博教授(元総務相)

軽減税率が低所得者対策にならないという批判は的外れだ。低所得者にとって消費税率が10%になるのと、8%のままなのと、どちらが良いか。8%のままの方が良いに決まっている。

例えば、「高所得者は高価な食べ物をたくさん買うから軽減される額が大きい。軽減税率は金持ち優遇だ」という指摘がある。しかし、金額の大きさではなく“痛み”の度合いでいえば、低所得者にとっては、負担が数百円軽くなるだけでも大きく違う。同じ2%の消費税率引き上げでも、明らかに低所得者への恩恵は大きい。

つまり、痛みの解消度合いでいうと、高所得者と比べて低所得者の方がより軽減税率の恩恵を受ける。消費税の負担感が低所得者ほど大きくなる「逆進性」がその分だけ緩和されるのは明らかだ。

「軽減税率を導入すると社会保障の財源がなくなるのではないか」との批判も、よく耳にするが、設問自体が間違っている。財務省による一種のマインド・コントロールと言っていい。社会保障の財源を消費税だけに頼る必要はないのだから。

国家公務員の給与引き上げを延期するなど、他に削れる部分はいろいろある。それでも財源に穴があくならば、高所得層の所得税を引き上げて、軽減税率で恩恵を受けた分を回収することもできる。

対象品目を食品全般(酒類・外食を除く)と新聞まで広げるなど、公明党は一生懸命やったと思う。公明党の動きを注視してきたが、言っていることは筋が通っていた。

さらに、宅配以外の新聞や雑誌、書籍にまで対象を広げることも視野に入れ、軽減税率が円滑に導入できるよう、政府・与党一体で誠実に取り組んでもらいたい。

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