脳脊髄液減少症支援策拡充を

公明新聞:2015年12月26日(土)付

ブラッドパッチ療法の保険適用などを塩崎厚労相に要望する古屋副代表と患者支援団体の代表ら=24日 厚労省ブラッドパッチ療法の保険適用などを塩崎厚労相(右端)に要望する古屋副代表(手前右端)と患者支援団体の代表ら=24日 厚労省

有効療法の保険適用を早く
1回約15万円かかるケースも

交通事故やスポーツによる外傷など、強い衝撃が原因で脳脊髄液が漏れ、頭痛や目まいなどの症状が複合的に現れる「脳脊髄液減少症」。医療現場での理解が進まず、患者やその家族は心身ともに大きな苦痛を味わってきたが、国と地方における公明党の地道な後押しもあり、ここにきて公的支援の機運が一気に高まってきた。特に、患者団体の悲願であるブラッドパッチ(硬膜外自家血注入)療法の保険適用まで“あと一歩”の状況だ。この療法は、患者自身の血液を注入して髄液の漏れを防ぐもので、同症の治療に有効とされる。

今回、脳脊髄液減少症の患者数人に、メールによるアンケートの形で取材への協力を得た。いずれの人も体調がすぐれない中、答えてくれ、文面には「自分たちの声が少しでも治療の推進に役立てば……」という思いがにじみ出ていた。



30代男性のYさんは高校時代、自転車で通学中に車にぶつかり重傷を負う。その後、一度は社会復帰し、大学を卒業して社会人生活を送るが、7年前に高熱や吐き気、首や背と頭の痛みなどに見舞われる。同症に無理解の医師から「詐病扱い」されるなどの苦痛を味わいながら、「複数の医師を訪ね、診療を受けた」結果、2カ月前に同症の診断を受けた。

同じく30代男性のIさんも交通事故が原因で発症。2年ほど前に同症と診断され、ブラッドパッチ療法による治療を2回受けた。「目まいや吐き気が軽減され、体の痛みも多少楽になった。聴力・視力も少しずつ良くなっている」という。

原因不明の突発性の症状と診断されたのは20代男性のSさんだ。同療法による2回目の治療を受けた後、症状が改善して通常の生活に復帰したが、約半年後に症状が再発。3回目の治療を受けて現在に至る。



この療法を含めた検査や治療への意見・要望を尋ねると、共通する声は、まず経済的な負担の軽減だ。Sさんは「同療法自体は1回約15万円。治療前後の検査入院費として約8万円。付き添いの家族の交通費や診断書の文書代を含め、これまで3回の治療で総額80~90万円ほどになる」。

同症は先進医療に承認されているため入院費などは保険適用されるものの、療法自体は保険の適用外だ。「自分も含めて、治療が長期にわたる患者が多く、離職せざるを得なくなる。ぜひ保険適用をお願いしたい」と訴える。

また、診察・検査体制への要望も多い。「病気の知名度が低い。同療法を受けられる病院も不足している」(Yさん)、「同療法の治療が上手な医師でないと逆にリスクが高まる。スペシャリストを育ててほしい」(Iさん)などだ。

同療法が保険適用されれば、患者の経済的負担が軽減されるだけでなく、診断や治療に関する医学的知見も蓄積され、同症への医療の対応が大きく進むことが期待される。保険適用の早期実現を、患者とその家族は切に願っている。

 

「一緒に闘ってくれた公明党」
医学的知見の蓄積促進に期待

「脳脊髄液の漏れなどあり得ない」というのが、かつての医学界の定説だったが、今では日本脳神経外科学会が病気を認めるまでに。強固な壁に風穴を開ける思いで支援に取り組んできたのが、仮認定NPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」の中井宏代表理事ら患者団体の人たち。そして、そばで寄り添い続けてきた公明党だ。中井代表理事は「公明党に協力してもらい14年目。全国の議員が私と一緒に闘ってくれた」と振り返る。

公明党は、国と地方で議会質問や署名活動などを通じて救済策の拡充を全力で推進。2006年には党内に対策チームを設置。厚生労働省研究班の発足(07年)、同症の一部である「脳脊髄液漏出症」の診断基準策定(11年)、同療法の先進医療の承認(12年)などを実現してきた。

今月15日、党脳脊髄液減少症対策プロジェクトチーム(PT、座長=古屋範子副代表)の勉強会に講師として招かれた中井代表理事は、厚労省研究班による医療機関への調査結果を紹介し、同療法の有効性を報告。来年4月からの保険適用をはじめ、国の基準に当てはまらない“グレーゾーン”患者への治療支援や、子どもの治療研究の推進を求めた。24日には、同症の患者支援の会(大平千秋代表)と子ども支援チーム(鈴木裕子代表)が、厚労省で塩崎恭久厚労相に療法の保険適用などを要望。党PTのメンバーも同席し、実現を強く訴えた。

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