TPP関税撤廃95%

公明新聞:2015年10月21日(水)付

日本、最多の例外を獲得 政府が全体像を発表

関税が削減ないし撤廃される主な品目政府は20日、環太平洋連携協定(TPP)交渉の大筋合意に盛り込まれた貿易自由化の全体像を発表した。工業品と農林水産物を合わせた日本の全貿易品目(9018品目)のうち、TPPで最終的に関税をなくす割合を示す撤廃率は95.1%となり、日本が結ぶ貿易協定の中で最も高い比率となる。日本はこれまでに15カ国・地域と自由貿易協定(FTA)を結んでおり、撤廃率はオーストラリアとの協定の89%が最高だった。

ただ、日本以外の11カ国の関税撤廃率は100%ないし99%であり、日本は最も多くの「関税撤廃の例外」を獲得したと言える。

農林水産物の市場アクセス分野では、日本がこれまで関税を維持してきた834品目のうち、ほぼ半分に相当する395品目の関税を撤廃する一方、439品目の関税を維持。コメなどの重要5項目(586品目)では、牛タンやソーセージなど3割に当たる174品目の関税をなくすものの、412品目は関税を残す。

甘利明経済再生担当相は20日の記者会見で「農産品に限ると(日本の)関税撤廃率は交渉参加12カ国で一番低い。農産物5項目のコア部分の関税はしっかり守れた」と語った。

森山裕農林水産相は、農林水産物全2328品目のうち約19%の443品目で関税が維持されると指摘。「関税撤廃の圧力が極めて強かったTPPで19%は群を抜いて高い。参加国の中で(日本は関税を)しっかり守れた」と強調した。

農林水産物では、野菜と果物の関税の大半が撤廃される。水産物でもサケ類など多くの品目で関税がなくなる。工業品では、ほぼ全ての品目で関税を撤廃。一部を除き高率の関税で守ってきた皮革製品も、関税を16年目までに全廃する。

農業の国内対策に全力

石田祝稔政調会長

TPP大筋合意を受け、日本が結ぶ貿易協定の中で最も高い水準での協定が生まれることは、全体として国益増進につながるものであり、意義は大きい。

ただ農産物では、引き続き再生産可能となるよう「例外なき関税撤廃」の対象から除外することを求める国会決議があるコメなどの重要5項目について、全586品目のうち約3割で最終的に関税が撤廃されることが判明した。この事実を重く受け止めている。政府が説明するように「コア部分」の関税が守られたとは認識しているが、重要なのは、生産者の皆さまがどう判断するかだ。

今後、影響を最小化する国内対策をどう講じていくかが問われる。国内対策と合わせて、結果的に国会決議の趣旨が守られたと評価していただけるよう、党を挙げて取り組む決意だ。

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