刑務所の医師不足解消へ

公明新聞:2015年9月7日(月)付

特例法が成立、兼業容易に
国重氏の訴え実る

刑務所や少年院などの矯正施設で勤務する医師の「矯正医官」を安定的に確保するため、兼業をしやすくするなど待遇を改善する特例法が8月27日の衆院本会議で可決、成立しました。

法務省によると、今年4月時点の矯正医官は定員328人に対し257人。欠員が2割以上に及び、受刑者らの医療環境の悪化が懸念されていました。

これまで矯正医官が勤務時間内に他の病院や診療所で勤務することは事実上、認められていませんでしたが、特例法では法相の承認があれば可能としました。

さらに、矯正施設以外での勤務や、大学、研究機関での症例研究をしやすくするため、勤務時間を柔軟に選べるフレックスタイム制を導入します。また、矯正施設での医療に関する理解が進んでいないことから、特例法は広報・啓発活動の強化や、矯正医官の確保と勤務条件改善を国の責務として明記しました。

公明党の国重徹衆院議員は2013年4月の衆院予算委員会分科会で、刑事施設の常勤医が慢性的に不足している現状を指摘。「積極的な解消措置を」と訴え、谷垣禎一法相(当時)から課題解決への前向きな答弁を引き出していました。

国重氏の質問も後押しとなり法務省は同年7月、「矯正医療の在り方に関する有識者検討会」を発足。昨年1月に検討会がまとめた報告書には、「特例法の整備も視野に入れた大胆かつ抜本的な解決策を検討すべき」と盛り込まれていました。

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