「抑止力」高める法整備

公明新聞:2015年6月24日(水)付

「違憲」批判は当たらず
新3要件で厳しい歯止め
平和安全法制 識者に聞く
憲法学者 浜谷 英博氏

―今回の平和安全法制の評価は。

憲法は、国民の生命、自由、幸福追求に対する権利を国が最大限尊重するよう、うたっている。つまり、国民の安全を守るのは国の最大の使命であり、政治が必要な法律や原則の整備を進めるのは当然のことだ。

わが国を取り巻く国際環境が厳しさを増す中、紛争を未然に防ぐ「抑止力」を高めるための法整備を評価している。

―法制と憲法との関係について。

日本の自衛隊に許される武力行使は、日本にとっての自衛措置に限られる。これが今まで政府がとってきた見解だ。憲法を変えていない以上、その枠内でできる最大限の内容を議論して、自衛権行使の要件などを精緻に組み立てるのは政治家の仕事だ。政府・与党が提案した法案は、その検討結果だ。

今回の法案が定める内容も、あくまで日本にとっての自衛措置であることが新3要件で明確に示されており、憲法の枠組みを逸脱していない。つまり、新3要件は極めて厳しい条件を付し、諸外国には認められているような、もっぱら他国防衛を目的としたフル規格の集団的自衛権は行使できないよう歯止めをかけている。

―憲法学者の間でも安保法制を「違憲」だと指摘する声があります。

これまで多くの憲法学者は、自衛隊の存在や日米安保条約、PKOや有事法制を違憲だといってきた。法律学者は一般に、新しいことに対して消極的になりがちだが、重要なのは、学者の役割と政治家の役割は違うということだ。学者の役割は、多様な見解を世の中に提示して世論を喚起することだが、選挙で選ばれたわけではないので政策の中身や結果に対して責任が伴わない。一方、政治家は、政策判断の結果に責任を負わなければならない。これまでも憲法9条の下で自衛の措置がどこまで許されるかという議論について、運用上の有権解釈は国会と内閣で重ねられてきた。

平和安全法制の議論を主題としていない今月4日の衆院憲法審査会で、3人の参考人がそろって法制を違憲だとする見解を述べた。国会に招致された参考人は、国の政策に沿っていようが反していようが、自身の良心に従って見解を述べる。しかし、あくまでそれは一つの意見であって、国の政策を拘束するものではない。法制に反対する勢力にとって政治戦略上は都合が良いのだろうが、「参考人の意見を重要視すべき」と今回だけに限ってことさら強調されていることには違和感がある。合憲・違憲の最終判断は最高裁判所の権能だ。

いずれにせよ、与野党いずれの安保政策が国家・国民の安全にとって有益か、国際安保環境の激変を背景に、国民は政策的リアリティー(現実感)の競い合いに注目している。

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