家庭の温かさ実感を
公明新聞:2015年6月8日(月)付
党プロジェクトチーム現場調査し、提言取りまとめへ
夕方になると東京・調布市にある児童養護施設「二葉学園」(武藤素明統括園長、小倉要園長)は学校から帰宅した子どもたちの声でにぎやかになる。台所では夕御飯の準備が進む。
同園は、諸事情から家庭での生活が難しい2歳~18歳(20歳未満も可)の子どもたちが共同生活を送る。より家庭に近い環境にするため、個室タイプの本園(定員16人)と近隣の一軒家を借りたグループホーム(6棟、定員各6人)で暮らす。子どもたちの約8割は虐待を背景とした入所だ。
小倉園長は「家庭に近い雰囲気での生活は、いろいろな事を伝えられる。食事は給食ではなく、職員が台所で作る。料理の音、においなど家庭の温かさを感じてほしい」と語る。
2000年の児童虐待防止法施行を機に体制が強化された結果、児童虐待に関する相談件数は年々増加。1999年に比べて2013年は6倍超の7万3802件(厚生労働省調べ)となった【グラフ参照】。社会の養護が必要な児童は約4万6000人(同)。このうち児童養護施設で暮らす子どもは2万8133人(14年10月時点)で、うち59.5%が親などからの虐待体験がある。
国は今、社会の養護が必要な子どもの支援拡充に力を注ぐ。児童養護施設については、児童のプライバシーに配慮し、家庭に近い小規模化を進めている。
6月1日、公明党の児童虐待防止・社会的養護検討プロジェクトチーム(PT、国重徹座長=衆院議員)は二葉学園を訪問。国重座長、佐々木さやか事務局長(参院議員)、山本博司参院議員、角田秀穂衆院議員のほか、顧問の古屋範子副代表、高木美智代衆院議員が参加した。
意見交換の中で武藤統括園長は、虐待だけではなく、発達障がいなどを抱える児童の入所が増えている状況を説明し、「小規模化で子どもは生活しやすくなる一方、職員は宿直や超過勤務が多くなった」と職員待遇の難しさを訴える。
党PTは本園内とグループホーム「アスター」をつぶさに視察。アスターは幼稚園年長から高校1年生の5人が暮らす。指導員の赤瀬正樹さんは、「グループホームは児童・生徒が学校や地域の人間関係を築きやすい」とグループホームの利点を説明した。
国重座長は、「あらためて家庭に近い環境での養育が大事だと実感した。一方、子どもを守る職員への支援も欠かせない」と強調する。
PTは今後、家庭内で児童を養育する里親の調査などを行い、政府への政策提言を取りまとめることにしている。
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