島民の“生活の足”確保

公明新聞:2015年5月28日(木)付

「ふれあいタクシー」の運転手から話を聞く雲峰市議「ふれあいタクシー」の運転手から話を聞く雲峰市議(左)

「ふれあいタクシー」が運行開始
松山市・興居島

住民が自家用車で送迎

愛媛県松山市の高浜港の沖合約2キロに浮かぶ興居島で4月から、島民が自家用車で登録会員を送迎する過疎地有償運送事業「ごごしまふれあいタクシー」がスタートした。タクシーやバスが走らない離島で、車を持たない高齢者を支える貴重な生活の“足”として、好評を博している。

275人が登録 距離に関係なく1回500円

公明が提案し一貫して推進

「夢がようやく実現した。島民の暮らしを守ることができて本当にうれしい」。同タクシー事業の実施に尽力してきた興居島地区社会福祉協議会の竹内國夫会長は、ほっとした表情で語った。

人口1128人(5月1日現在)で、南北に長い(約7キロ)同島には、八つの集落が点在しているが、路線バスがない。かつて島内には業者が走らせるタクシーが1台あったが、日常生活には利用しづらく、料金も安くない。自動車やバイクを運転しない高齢者が診療所や買い物に行くには、とても不便な公共交通機関の空白地域だった。

こうした実情を島民から聞いた公明党の雲峰広行市議は、2006年12月定例会で、「有償運送」による離島での交通手段の確保をいち早く議会で取り上げた。

有償運送は、同年10月に施行された改正道路運送法に盛り込まれたもの。対象地域内で公共交通機関を利用することが困難な高齢者などを、特定非営利活動法人(NPO法人)や社会福祉法人が主体となって、有償で運送するサービスで、福祉有償運送と過疎地有償運送の2種類がある。雲峰市議は10年6月、13年6月定例会で、同島における過疎地有償運送の実施を要望。移動手段のない島民の窮状を訴え続けた。

こうした要望を受けて市は、愛媛運輸支局(国土交通省)や関係機関などと協議を進めた。タクシー業者と競合するなどの理由で実現は困難と見られたが、12年9月に、その業者が廃業したため議論は加速。事業主体となる法人の選定や運転手の確保などに向けて、愛媛運輸支局や市、運送事業者、警察、地元住民などで組織する運営協議会が設置され、ようやく実現の運びとなった。

「ごごしまふれあいタクシー」は、利用したい日時を電話で予約すると、運転手が自家用車で自宅などへ出向き、目的地まで送迎する仕組み。料金は距離に関係なく1回1人500円。2人乗り合わせで各300円、3人以上は各200円。利用には会員登録が必要で、年会費は1人1800円。社会福祉法人恩賜財団済生会「デイサービスセンターごごしま」が運営事業所として、予約受け付けや配車を行っている。

運転手には8人の島民が登録しており、武田俊子さんは「自分にできることをお手伝いしたいとの思いで登録した」とハンドルを握る。運行開始から1カ月間で、会員は275人、利用者は92人と上々の滑り出し。竹内会長は「末永く運行できるように啓発活動に力を入れたい」と語る。利用している森照子さん(80)は「タクシーがなくなって本当に不便だった。診療所に行くのに利用しています」と喜んでいた。

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